DAY15:静穏 ページ16
【だいちぃside】
刹那の緊迫に飲み込まれない様に
DAY15:静穏
初めてAちゃんが編集した動画をアップロードするという事で、その作業をはじめがする間、頼まれた買い出しにAちゃんと行く。
たわいも無い会話をしながらコンビニまでの道のりを歩く。
Aちゃんは俺の肩くらいの身長で、とても小柄。
いつもは俺と同じくらいか高い人としかいないので、人を見る時に視線が下に向かうのはどこか新鮮さを感じる。
「まぁた恐れ多いとか堅苦しいの使っちゃって〜〜〜!はい、ほら言って!だ・い・ち・く・ん」
皆んなと仲良くなりやすくする為にも、Aちゃんの話し方の堅苦しさを和らげる様に促す。
という大義名分の裏には、ただ単純にAちゃんに名前を呼ばれたいだけ。
『・・・だ、だいち、く、ん』
たどたどしく君付けで俺の名前を呼ぶAちゃん。
やばい。バカ可愛い。少し照れてる感じも可愛い。
ニヤける口を手で押さえたくなったが、そんな事をしたら怪しまれるのでニヤけるのを必死に隠す。
「はい良くできました〜」
ニヤけを抑えつつ、よしよしとAちゃんの頭を撫でていると、後方から車が来ている事に気付いた。
しかも、その車は俺達の方に随分と寄りながら進んで来ていた。
それが分かった瞬間。
考えるよりも先にAちゃんの腕を引っ張っていたー
その勢いでAちゃんはすっぽりと、俺の腕の中に包まれる。
その横を何事も無かったかの様に車は通り過ぎて行く。
直ぐ近くにあるAちゃんの髪からふわり、と良い香りが鼻を掠める。
細い肩、そして、ぴたりと俺の胸元にくっついた小さな顔。
これ、心臓バクバクしてんのバレる。
てか、このままもう少し抱き締めていたい。
焦りと煩悩がぐるぐると頭を駆け巡る。
「あっ、ぶなー!」
本当。色々と危なかった。
パッ、とAちゃんを離し、行動の理由を説明して謝る。
Aちゃんは自分にも非があると言って謝り、そしてお礼を述べる。
何て中身も良い子なのか。
焦りを抑えるのと理性を保つ為に、何事も無かったかの様に再びコンビニへと歩を進めて行く。
束の間の独り占めは、俺だけの秘密ー
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作者名:hmbmnm | 作成日時:2019年3月8日 1時