DAY14:上昇 ページ15
静まれ、静まれ
DAY14:上昇
オレンジ色と紺色が綺麗にグラデーションとなる空。
住宅街には美味しそうな香りが漂う。
どこかでカラスの鳴き声も聞こえる午後6時。
HAPからいつも集合場所に指定していたコンビニへの道を歩く。私の隣にはだいちさん。
動画をアップロードしている間に飲み物などの買い出しを頼まれた。
暗くなるから危ない、と、だいちさんが付いて来てくれる事になり、今に至る。
だ「いやぁ〜、Aちゃんが入って何か本格的に始まった感じするね〜」
『そうですね。まだまだ頑張ります』
だ「てかさ!そんな堅苦しく話さんでいいのよ?だいちさんじゃなくてだいちくんでいいし!」
『そ、それは恐れ多いです!』
だ「まぁた恐れ多いとか堅苦しいの使っちゃって〜〜〜!はい、ほら言って!だ・い・ち・く・ん」
『・・・だ、だいち、く、ん』
だ「はい良く出来ました〜」
そう言ってだいちさん、改め、だいちくんはわたしの頭をよしよしと撫でる。
何だろう、このくすぐったさは。何か顔が火照ってる気がする。
両手で両頬を覆う様に顔の熱さを確認していると、
『ーっ!』
だいちくんに腕を掴まれ、そしてそのままだいちくんの腕の中に収まった。
私の顔はだいちくんの胸板にぴったりとくっつき、心音が聞こえる。
だ「あっ、ぶなー!」
だいちくんは少し焦った様に言葉を発し、そして私を解放する。
だ「後ろから来てた車が凄いこっちに寄ってて、Aちゃんに当たりそうだったから思わず引っ張っちゃった。急にごめんね」
『あ、いえ、こちらこそきちんと見てなかったのも悪いので・・・。ありがとうございます』
ドキドキと脈打つ鼓動を悟られない様に平然を装いながらお礼を言う。
だいちくんは「いいえ!」と、何事も無かったかの様に再び私の隣を歩き始めた。
前も言ったけど。
普段は無邪気で、けど冷静に考える大人な部分もあって、細やかな気遣いも出来る。
そして、今みたいに、正義感のある男らしい一面にも接してしまい・・・
私の顔の火照りと鼓動は直ぐには治らなかったー
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作者名:hmbmnm | 作成日時:2019年3月8日 1時