私へのアプローチがかなりキモイ降谷さん【名探偵コナン】【降谷零】

11.休暇を取った上司 ページ30

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「えっ、降谷さん一週間有給取ったんですか？」


各自の仕事の予定や休暇を書き入れるホワイトボードを見ると、いつも仕事の予定でびっしりな降谷さんの欄が真っ白になっていて、代わりに赤の水性ペンで『○/×〜○/△ 休暇』の文字があった。

あのセルフ社畜の降谷さんが、である。

今日はエイプリルフールだっただろうか。


「ああ、突然昨日申請されたそうだ」

「風見さん」

「俺も最初は何の冗談かと思ったが」

「ですよね」

「でもまあ、ここ五年間、潜入捜査で年中無休状態だったから、一週間なんかじゃ有給消化しきれないだろ。そう考えると丁度いいんじゃないか」


確かに、と昨今煩く言われる様になった有給消化に頷いた。省庁でもようやく回り始めたシステムだが、今度は休め休めと煩くて叶わない。

この部署は特殊オブ特殊だからあまり関係ないけど。


「いやでもあの降谷さんですよ？」

「それは俺も疑問というか、色々通り越して少し寒気がするが」

「ほらあ」

「おはようございます！ってあれ、どうしたんですか二人とも」

「B原おはよう。早速だけどこれどう思う？」

「え？･･････うわ、地球滅亡の危機にでも直面して奔走してるんですかねあの人」

「B原の中での降谷さんのイメージが何となく分かったよ」

「だってモノレールの上を爆走した挙句建設中のビルから車ごと空にダイブして人工衛星の軌道変える人ですよ？」

「改めて言葉にすると降谷さんってバケモノですね」

「それ本人には言うなよ」


風見さんの言葉に肩を竦めて見せた。

席に戻ると、既にA田さんがデスクの上の書類に手を付け始めていた。


「おはようございます。見ました？」

「見た見た。降谷さん、とうとう休暇取らされたんだな」

「取らされた？」

「知らねえのか？散々課長と押し問答してたぜ昨日」

「へー」


幾ら鬼の課長とはいえ流石に世論には勝てないのか、とその時は気楽に聞いていた。

午後に行われた合同捜査会議で、とある犯罪組織が浮上するまでは。




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