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反抗 ページ43

それが仕事の内容なんだわ..っ。

そんな..っ。私たちのような人をまた奴隷にしていくの_?

しかも、私たちの故郷イメラール区で。

妹と過ごしたきらやかではないけど温かかったこの町に。

神様。私にこれを見過ごせと...っ?



交錯する思いが抑えきれなくなりそうなときに
アレクシは扉を開けた。

私は偶然のタイミングに呆気をとられて力が抜けた顔でアレクシを見つめている。

ユミの瞳には迷いが溢れ、いつまにか頬に垂れていた汗が床に落ちた。





「...借金所を作るのですか...?」


もう、口から溢れてしまった。

こんなことを見過ごすなんて、誰よりもその辛さを体験してきた私に出来ない。

私に勇気がある訳じゃない。
今だって言わなければよかったと少し後悔もあるし、怖いと思う。


ただ、見過ごしたら自分を失いそうで。




「作る」



アレクシは淡々と悟ったように真実をユミに告げた。



「....作ら、ないで...」


アレクシの目を見て、凍りつく喉に必死に声を絞り出す。


「...」

「私の時みたいに、卑劣なやり方で労働者になる、選択しか選ばせないように、働かせて働かせて。

奴隷になっていい人はいないんです..っ。

お金に困って、会いたい人に会えない人をもう見たくないんです。

借金所を作ったら、アレクシ家の労働者が増すばかりで...」


ガタンッ

その瞬間、私の座っていた横にある棚が壁に向かって勢いよく倒れた。

アレクシが足で思いっきり蹴飛ばしたのだ。
散乱する木の破片と本。

反射的に肩をビクッと震えさせたユミ。





「少し..甘やかせてしまったようだね」


微笑んでる彼の目が少しも笑っていない。
その狂気にますます喉が締まりそう。



「いけない奥さんだね..。夫の仕事に口出しをするとは」


そう言い、人の手とは思えない冷たい手をユミの頬に添える。アレクシの視線から目を剃らせない怯えたユミ。

蛇に威嚇され、固まった餌だ。


「身の程をわきまえろ」





笑顔で言っている台詞なのに、軽さは皆無で、むしろ全神経を麻痺させるような威圧する圧力。

テノールの響きが体を蝕む。









「...っ」


恐怖からの涙なのか、何も出来ない虚しさからか、又々は両方か、涙が滴のように溢れ出た。



アレクシはいつもの無表情に戻り、泣き出した私を見下ろしていた。


気づいたら、アレクシに抱き上げられ、路地裏へと運ばれていった。

内心、もう用済みだと解雇通知されると思っていた。

異変→←今回の仕事



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作者名:三兄弟だんご | 作成日時:2018年6月19日 0時

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