外の世界 ページ39
カチカチカチ_。
機械音だけが、アレクシの仕事部屋に響いている。
窓から入る光はアレクシの机まで届かずに、昼間だと言うのに暗い不気味な空間だ。
金で舗装された万年筆を机の端において、椅子の背もたれに寄りかかり、足を組んで机の上に置きつつ
煙草の吸殻の横に溜まった書類に目を通している。
どうやら、イメラール地区で麻薬の密売をするやつらが急上しているらしい。
イメラール地区は元々治安が悪い場所で裕福層と貧困層の格差が大きい。
痩せこけた老婆が髪を売り、麻薬で脳が可笑しくなりごみ溜めで寝ていたり、窃盗、殺人など犯罪が日常茶飯事。
しかし、麻薬の密売が盛んになるということは、そこには麻薬を買うために金を欲しているやつがいるということだ。
そこに、金を貸す裏ルートを作り、アレクシ家の奴隷を増やす。
アレクシはそのためにイメラール地区へ向かう必要があった。
イメラール地区で最低一週間は滞在することになるだろう。
アレクシは席を立ち、そばにいた執事にこう告げた。
「すぐにイメラール地区へ向けてここを出ていく。
ユミも連れていく。準備をしておけ」
そのことが、執事を介してユミに伝わった。
まさか_。イメラール地区に行けるなんて。
そこは、私が小さい頃妹と暮らしていた所。
あの場所にまた行けるのね。
ユミはイメラール地区に行けるという嬉しさで胸がいっぱいになっていた。
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作者名:三兄弟だんご | 作成日時:2018年6月19日 0時