恐怖で支配 (ページ38)

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無機質とはページ38

アレクシはユミの首の後ろに手を回して、髪など気にせず無造作に掴む。

そして、足をユミの太ももの横におくように、軽くのし掛かっていた。

直接鎖に肢体を繋いでいる訳ではないのに、ユミの神経が拘束されているよう。

ユミはこの状況がうまく呑めていないようだった。

瞳が水溜まりのようににじんできて、眉も下がり、動揺している様子が見てとれる。

ユミにとってアレクシは仕事での最高権力者であり、大袈裟に言えば生死を握られているといっても過言ではない。

絶対に逆らえない人だった。

しかし、知らない部屋に呼ばれ、自分の意思に反して勝手に触れられるのが怖かった。

以前目が覚めたら力ずくで服を脱がされたことを思い出した。

声を振り絞って抵抗したのに、アレクシは無視して、変わらぬ表情で手を出した。

あの時、電話がもし鳴らなかったら＿。

アレクシの手が微かに動いた。

「っ」

ユミは反射的に体が動いて、両手をあわせて胸の上においた。

鼓動が止まない心臓の音がユミを余計に怯えさせる。

「帰れ」

アレクシは目を横に反らして、吐き捨てるようにただ一言言う。

体をユミから知り除け、黒と赤が基調とされている光沢がかったソファに腰を落として、煙草を吸う。

一切ユミに目を会わせずに、ただ静かな時間が流れたあと、

ユミは力の入らない足でアレクシの部屋を後にした。

すごく、怖かった。

いつまでこの仕事を続ければいいのだろうか。

ミカエラ、、。

早く、会いたい。

ユミは震えた手を握りしめて、眠りについた。