●不純な動機【O】 ページ21
『不純な動機』というのが、何かを始める時の女子にはよくあると思う。
私がバスケ部のマネージャーになったのは、典型的な『不純な動機』だ。
1年の時の放課後、たまたま見掛けた男子。
彼は金髪にした短めの髪に太陽をいっぱい浴びて、廊下を歩いていた。
着てるジャージは、体育の時に着る学校指定の物じゃない。
すれ違う他の男子に「今から部活？」と訊かれて「そー」と応えてるのが聞こえて、その人が着てるそれは部活用のジャージなんだと知る。
深い海のような青い色のジャージの背中に『籠球部』と書いてあって、すぐに調べた。
それがバスケットボール部だと分かった翌日には、私はもう体育館にバスケ部を覗きに行っていた。
入口からコソコソと中を覗いて、金髪を探す。
「...居ない...」
休んでるのかな...と諦めて帰ろうとした時「入部希望？」と背後から声を掛けられた。
振り返ると、あのジャージを着た金髪の彼が白いタオルを首から引っ掛けて立っていた。
「女バス、今日は筋トレだから体育館に居ないよ」
「あっ...あのっ...」
「んー？」
「私っ...運動は苦手で...！」
「じゃ、マネージャー希望？そかそか」
「えっ、えっ」
彼は私の手首を掴んで、体育館の中へ入る。
パス練習をしてる部員さん達が、彼と突然引きずり込まれた私を見て「大野が女の子を拉致してきた」とか言って笑ってる。
「ぶちょー、この子部活見学でーす」
「見学？あ、マネージャー希望か」
こっちを見た部長さんにニッコリ笑って会釈されたせいで、つられて私も会釈してしまった。
「じゃあ、君はその辺に座って見学してて？大野は早く練習参加して」
「はーい」
大野...大野さんっていうんだ...。
1年じゃないし、部長さんに敬語使ってたから2年生っぽい。先輩だ。
パス練習へ向かってた大野先輩が羽織ってたジャージを脱いで、Tシャツ姿になった。
華奢そうに見えてたのに思ってたより肩がしっかりしてて、何だかドキッとしてしまう。
「おーい」
「えっ！？...私？」
彼が振り返って「うん、そう」と頷く。
「これ、持っててぇ」
「えっ？」
「マネージャーのれんしゅー」
笑った大野先輩がジャージを投げた。
それは私の腕の中にポスッと綺麗に入る。
「ナイッシュー」
「.....」
「なんちゃってー」
タハハーと笑って、彼は駆け足で練習に合流した。
「.....」
先輩のジャージの胸元に『SATOSHI』とネームが入っている。
私は気付くと先輩から目が離せなくなっていた。
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めぐお(プロフ) - 久しぶりに読んだイロコイ。やっぱり大好きなお話です。残してくれてありがとうございます。 (2022年9月16日 16時) (
レス) @page47 id: 17cbbe6ec7 (このIDを非表示/違反報告)
莉依(プロフ) - 何度読んでも、やっぱりイロコイのお話は良い。大好き。 (2019年1月8日 0時) (レス) id: c571097cf8 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 結城ちゃんがビール飲めるようになってることに感動です( ；∀；) (2018年8月24日 15時) (レス) id: f393ece0e8 (このIDを非表示/違反報告)
mama(プロフ) - やーっと読むことができました。先生の『行間を読みなさい』が久々に聞けてドキドキしちゃいました。それぞれの恋のはじまりが丁寧に伝わりました。もう、恋をする年齢ではないけれど、お話の中では恋をしていきたいな。レイさん、いつもありがとうございます。 (2018年8月14日 6時) (レス) id: dc084211e8 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - イロコイ…続きが拝読出来て感動♪それと大野さんの「ともちゃんが猫を拾ったあの時、おれは恋を拾った」に心臓がドキューンと殺られたｗｗｗ (2018年8月8日 21時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2018年5月21日 18時
