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簡単な事だ。
つまらない毎日を楽しく感じ始めていたのは、恋してたからだ。
週に二回やって来る『バイク便のお兄さん』に、私は単純に恋してたんだ。
だってよく考えたら、二宮さんは私のタイプど真ん中。
色白なのも、黒髪も、可愛らしい顔立ちも、サイズ感も。
安っぽく「運命かも！」なんて、思っちゃう位に。
だけど、実際問題そんなに上手くは行かない。
二宮さんがやって来ても、たまたま出入口の近くに居た人がサインをしてしまう事も多い。
でも、そんな時も私はウォーターサーバーでお水を入れて二宮さんに届ける。
それを飲むと彼はいつも「ありがとう、五十嵐ちゃん」と、紙コップを返してくれる。
それが嬉しくて、きっと月曜と木曜の私は機嫌が良いはずだ。
「おぉー？五十嵐さんは、あのバイク便のお兄ちゃんにホの字なのかなぁ？」
軽いセクハラ発言にウンザリしてた上司からそんな事を言われても「えぇ？何言ってんですかー」なんて笑えるようになった。
何か言われる度に睨むようにしてた私が笑ったら、上司は普通に雑談もして来るようになって話してみたら意外と面白い人だった事を知った。
「五十嵐さん、これやっといてねー」
「はい！」
面倒な仕事を押し付けて来る先輩にも、ゴキゲンに返事できるようになった。
そんな私を先輩は気に入ってくれたのか、飲みに誘われたりもして最近は仕事を押し付けられる事も無くなってきた。
「こんちわーっす」
今日も二宮さんは緩ーくやって来る。
元気溌剌って感じでは無いけど、何故か不健康そうには見えないのが不思議。
今日は運良く私がサインできた。
間近で聴こえる「あっちー…」って小さな声だけで、ドキドキして楽しい。
「暑くなって来ましたね」
「まだ6月なのにねー」
あっちーあっちー、って言ってる二宮さんはいつも着てるツナギの袖を腰に巻いた白いTシャツ姿。
思ってたよりも肩が張ってる事に、うぅ...ってなる。
「あ、お水持ってきますね！」
「いつもありがとね」
ウォーターサーバーで水を入れてる私を見た上司が、何故かガッツポーズして来る。
やめて欲しいけど、私も思わず頷いちゃったりして。
「はい、どうぞ」
「いただきまーす」
白い首に浮かぶ喉仏。
こんなにウットリしてしまう光景が他にある？いや、無い。
「ありがとう、五十嵐ちゃん」
「どういたしまして」
「じゃ、失礼しまーす」
二宮さんがオフィスを出てった後、窓から下を眺めてバイクに跨る彼を見るのが幸せだ。
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めぐお(プロフ) - 久しぶりに読んだイロコイ。やっぱり大好きなお話です。残してくれてありがとうございます。 (2022年9月16日 16時) (
レス) @page47 id: 17cbbe6ec7 (このIDを非表示/違反報告)
莉依(プロフ) - 何度読んでも、やっぱりイロコイのお話は良い。大好き。 (2019年1月8日 0時) (レス) id: c571097cf8 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 結城ちゃんがビール飲めるようになってることに感動です( ；∀；) (2018年8月24日 15時) (レス) id: f393ece0e8 (このIDを非表示/違反報告)
mama(プロフ) - やーっと読むことができました。先生の『行間を読みなさい』が久々に聞けてドキドキしちゃいました。それぞれの恋のはじまりが丁寧に伝わりました。もう、恋をする年齢ではないけれど、お話の中では恋をしていきたいな。レイさん、いつもありがとうございます。 (2018年8月14日 6時) (レス) id: dc084211e8 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - イロコイ…続きが拝読出来て感動♪それと大野さんの「ともちゃんが猫を拾ったあの時、おれは恋を拾った」に心臓がドキューンと殺られたｗｗｗ (2018年8月8日 21時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2018年5月21日 18時
