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結局、ご飯を食べてる間も今日が何の記念日なのかさっぱり思い出せなかった。
ただ、雅紀くんの作ってくれたご飯は美味しかった。
「ごちそうさまでした！」
「美味しかった？」
「うん！ありがとう」
「うん。.....アハッ」
妙なタイミングで笑った雅紀くんに、やっぱり何かあるんだよなぁ...と思う。
「ねぇ、Aちゃん。...まだお腹に余裕ある？」
「え...あると言えば、ある...」
「じゃあ、ちょっと待ってて！」
彼が勢いよく立ち上がってキッチンへ向かった。
間違いなくこの後ケーキが出てくる。知ってる。
「...何の日だったかなぁ...」
うーん...と考えてると、雅紀くんはあの箱をそのまんま持ってきてテーブルに置いた。
てっきり出してくると思ったから、ある意味サプライズ。
「.....開けてみて、ください」
私の正面に座った彼は、唇をぎゅっと噛んで眉間に皺まで寄ってる。
怒ってる？って本気で思ってしまうような顔で、やっぱり私が何の日か気付いてないの気分悪いのかな...って不安になって来た。
「...開けまーす...」
何かごめんなさい...って思いながら箱を開けてケーキを取り出す。
苺がふんだんに使われた真っ赤なホールケーキ。
「.....え...」
その真ん中にチョコレートで出来たプレート。
「雅紀くん...あの...」
そこには『結婚してください』と、描いてあった。
心臓、止まりそう。死ぬ。
「Aちゃん」
ケーキを見つめて呆然としてた私が気付いた時には、もう雅紀くんは私の隣に立っていて。
私が視線を向けると、片膝をついて指輪の入った小さな箱を私に差し出した。
「結婚、しよ？」
思わず椅子から飛び降りるようにして、雅紀くんの前に正座する。
雅紀くんも慌てたように、正座に座り直した。
「指輪...どうしたの...？サイズとか...」
「ミキちゃんに教えて貰った」
ミキは私達と同じ会社の友達だ。
そう言えば、こないだミキに指輪のサイズ訊かれたっけ。何にも気付かなかった。
「指輪、貰ってくれますか？」
「...はい」
「俺と、結婚する？」
「...もちろん！」
雅紀くんは気が抜けたみたいに、わー！って後ろに倒れた。
ゴチンって床に頭が当たった音。「いてっ」って笑ってる。
「緊張したー！」
「緊張、してたの...？」
「するよ！ずっと手震えてたもん」
「雅紀くん...」
寝転がってるサプライズが好きなのに下手な雅紀くんを覗き込むと「俺のお嫁さん！」って楽しそうに笑った彼に、包み込まれた。
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めぐお(プロフ) - 久しぶりに読んだイロコイ。やっぱり大好きなお話です。残してくれてありがとうございます。 (2022年9月16日 16時) (
レス) @page47 id: 17cbbe6ec7 (このIDを非表示/違反報告)
莉依(プロフ) - 何度読んでも、やっぱりイロコイのお話は良い。大好き。 (2019年1月8日 0時) (レス) id: c571097cf8 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 結城ちゃんがビール飲めるようになってることに感動です( ；∀；) (2018年8月24日 15時) (レス) id: f393ece0e8 (このIDを非表示/違反報告)
mama(プロフ) - やーっと読むことができました。先生の『行間を読みなさい』が久々に聞けてドキドキしちゃいました。それぞれの恋のはじまりが丁寧に伝わりました。もう、恋をする年齢ではないけれど、お話の中では恋をしていきたいな。レイさん、いつもありがとうございます。 (2018年8月14日 6時) (レス) id: dc084211e8 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - イロコイ…続きが拝読出来て感動♪それと大野さんの「ともちゃんが猫を拾ったあの時、おれは恋を拾った」に心臓がドキューンと殺られたｗｗｗ (2018年8月8日 21時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2018年5月21日 18時
