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仕事を終えて家に帰ると、珍しく先に彼が帰っていた。
「おかえり、Aちゃん」
玄関まで迎えに出て来てくれた彼は、何だか不思議な表情をしてる。
「ただいま。雅紀くん、早いね」
「うん。今日は早く帰りたかったから、昨日まで残業頑張ってた」
確かに昨日まで深夜に帰って来てたな...と思うと同時に、何で今日は早く帰りたかったんだ？と思う。
雅紀くんの不思議な表情と相まって、これは例のアレでは...と勘付いてしまった感じもするけど、いつものように気付いてない振り。
「俺、今日ご飯作ったんだよねー」
「え！？」
玄関から一緒に部屋に入り、テーブルに並んでる料理を見て「これか！」と思う。
私の為に夕飯作って待っててくれたんだなぁ...何て素敵な彼氏なんだろう！好き！
「雅紀くん、ありがと！」
「良いから良いから！早く食べよ！」
雅紀くんに促されて着替えもせずテーブルの前に座ろうとしたんだけど、そこには飲み物が無い。
「お茶用意するね」
「おっと、ごめん！忘れてた！」
ごめんごめん！と手を合わせてる雅紀くんの肩にポンと触れて、私はキッチンへ行き冷蔵庫を開ける。
「...ん？」
そこには、どう見てもホールケーキが入ってるだろうという箱が鎮座していた。
え、本当のサプライズはこっち...？
何の日なんだ...？今日は何の日なんだ...？
何かの記念日...？
同棲を始めた日...違う。
付き合い始めた日...でも無い。
記念日を彼氏が覚えてて彼女がスッカリ忘れてるなんて、ちょっとマズくない...？
冷蔵庫からお茶を出しながら、見なかった事にしよう...と決めた。
...って無理無理。見ちゃったもん。
二つのコップにお茶を注ぎながら考える。
「...分からない...」
私の記憶の引き出しに、その記念日はあるんだろうか...全く出て来ない。
お茶を片付ける時にもう一度ケーキの箱をジっと見る。
開けてみる？そしたら何か分かるか...？
ソーっと箱に手を伸ばしてると
「Aちゃーん？」
雅紀くんの声がして、慌てて彼の元へ戻った。
「お待たせ！」
「ううん...ねぇ」
「ん？」
彼の前にお茶を置くと、まぁるい目で私をじっと見る。
「Aちゃん、何か見た？」
「えっ！？」
「冷蔵庫の中、見た？」
「え？何かあったっけ？お茶しか見てなかった、アハッ」
「そっか！なら良いの！」
やっぱりサプライズ下手な彼。絶対に言ったらダメなやつ、それ。
だけど今は、何のサプライズなのかを考える事で忙しい。
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めぐお(プロフ) - 久しぶりに読んだイロコイ。やっぱり大好きなお話です。残してくれてありがとうございます。 (2022年9月16日 16時) (
レス) @page47 id: 17cbbe6ec7 (このIDを非表示/違反報告)
莉依(プロフ) - 何度読んでも、やっぱりイロコイのお話は良い。大好き。 (2019年1月8日 0時) (レス) id: c571097cf8 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 結城ちゃんがビール飲めるようになってることに感動です( ；∀；) (2018年8月24日 15時) (レス) id: f393ece0e8 (このIDを非表示/違反報告)
mama(プロフ) - やーっと読むことができました。先生の『行間を読みなさい』が久々に聞けてドキドキしちゃいました。それぞれの恋のはじまりが丁寧に伝わりました。もう、恋をする年齢ではないけれど、お話の中では恋をしていきたいな。レイさん、いつもありがとうございます。 (2018年8月14日 6時) (レス) id: dc084211e8 (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - イロコイ…続きが拝読出来て感動♪それと大野さんの「ともちゃんが猫を拾ったあの時、おれは恋を拾った」に心臓がドキューンと殺られたｗｗｗ (2018年8月8日 21時) (レス) id: bd0ebe94fc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：rei
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?t=reika72
作成日時：2018年5月21日 18時
