＊story 49＊ ページ9
*
「……貴女にとってそれは不利になるのでは？」
少し考えたあと、バーボンは覚悟を決めたようにそう話してきた。
“貴女にとって”ということはバーボンにとってそれは不利にならないということ…すなわち、彼は自分が組織の人間じゃないことを認めたことと同じ。
安室透でもない、バーボンでもない、名前も知らない本当の彼と今、私は初めて出会ったのだろう。
「そういう訳でもないわ。私の目的は貴方も知っているとおり、ジンに人殺しをさせないこと」
「ハハッ…無謀な目的だと思いますが？」
「そうよ、夢物語に過ぎない。でも……こんな私にだって守りたいものはある」
そのためだったら、組織を裏切ってでも……あの人を止める。
「俺は俺の立場で、組織の仲間を殺すことになるかもしれないが、それでも協力できると？」
「そんなことは絶対にさせない。私があの人を守るから……ジンが死ぬなんてありえない」
「どっからそんな自信が湧いてくるんだか」
呆れ顔のバーボンはそう吐き捨てる。
いちいち癇に障る喋り方だな、この人。
「それで、この取引に乗るの？乗らないの？」
少しイライラして、拳銃をグイッとバーボンの胸に突きつけると、彼は路肩に車を停めた。
「っ………」
そして銃を突きつけられているにもかかわらず、私の方へと身を乗り出してくる。
その間、約10センチ。
至近距離にバーボンの顔が見えて、思わず身を引こうとした私の顔をバーボンは片手で制した。
「いいでしょう、その取引に乗ります。しかし、貴女は信用出来ない……」
するりと彼の滑らかな手が私の輪郭を確かめるようになぞる。
「私は正体がバレてあなたに弱みを握られた以上、裏切るわけにはいきません。
だから貴女も裏切らないと証明できるものを教えていただかないとフェアじゃないですよね？」
ニコリと微笑んだ彼はとても妖美で、思わずビクリと体が震えてしまう。
それでも私は負けじと彼を睨んだ。
「じゃあ、信用出来ないならこれで私を撃って」
そう言って頬にあった彼の手に自分が持っていた銃を握らせる。
私のその行動にバーボンはわかりやすく驚いた。
「私だって組織を裏切るのだから命懸けよ。信用出来ないなら私の口を封じればいい」
真っ直ぐと目の前の彼を見つめる。
バーボンはしばらく黙ったままだったが、はぁ…と息をつくと、何かを吹っ切れたように小さく笑った。
「……俺の負けだな。取引成立だよ」
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てる(プロフ) - 華緒〜KAO〜さん» わわ！ごめんない！書き直します！ありがとうございます！ (2018年5月22日 0時) (
レス) id: 1a0e49df6a (このIDを非表示/違反報告)
華緒〜KAO〜(プロフ) - 途中から蓮華 が蓮香 になってて 名前変換がされなくなっちゃってます(><) めちゃくちゃ面白くてドキドキして面白いので応援してます！ (2018年5月22日 0時) (レス) id: d5aee746e1 (このIDを非表示/違反報告)
てる(プロフ) - 奈楠さん» ありがとうございます！！悪役の中でジンニキは神ですw頑張ります！ (2018年5月18日 12時) (レス) id: 1a0e49df6a (このIDを非表示/違反報告)
奈楠(プロフ) - 凄く面白いです！！！ジンニキイケメンかよぉぉぉぉ！！更新頑張ってください！応援しています！！ (2018年5月17日 21時) (レス) id: f44adf4250 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：てる | 作成日時：2018年5月14日 21時
