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男「ここはいい場所ですよね。私は休日はよくここに走りに来るんです。」
にこやかに話す彼の顔はとても美しく整っていて
まじまじと見つめてしまう。
黄金比、っていうのかな。お人形さんみたいだ。
男「すみません、急に話してしまって。
Aさんは休憩中だというのに私としたことが。」
「…どうして、私の名前」
男「…私の職場で、OLさん達の話題によくなっているので少々詳しくなってしまいまして」
あ、そうじゃん私一応モデルの端くれなんだから名前をこの人が知っててもおかしくないじゃん。
なんでそれ忘れてたんだろ。
少し恥ずかしそうに話す男性。
まぁレディース雑誌が多いから男性のファンは結構珍しい。
「ありがとうございます、なんだか照れますね!
こんなかっこいいお兄さんに知ってもらえてるなんて」
そう言うと彼は一瞬驚いた顔をした。
その後彼の赤みがかった瞳は少しだけ寂しそうにみえた。何か傷つけるようなこと言っちゃったかな。
男「Aさん、よければ一緒に走りませんか」
「え、あ……私、全然体力なくてお兄さんのペースには多分ついていけないと思います…」
男「大丈夫ですよ、それならウォーキングにしましょう。呼吸のやり方を工夫するだけでウォーキングでも十分いい運動になりますし。」
男性は優しく笑って私に向かって手を差し伸べた。
王子様みたいだなぁ、なんてのんきな考えが頭に浮かんで、普通は警戒するレベルなのに手を取っちゃって。
決してイケメンに弱いとかそんなんじゃないよ。
ただ、彼は怖くないというか危険じゃないというか
_____ただただ、泣きそうなほど懐かしい
「あの…貴方のお名前を聞いてもいいですか」
男「そうですね、一方的に知られていてはAさんも嫌ですよね。私の名前は鬼塚 月彦と申します。」
「月彦さん…」
月彦「!」
「あ、すみません!名前で呼んじゃって、失礼でしたよね!すみません!!」
月彦「いえ、むしろそう呼んで頂けた方が嬉しいです。」
クスクスと笑う月彦さん。本当にその姿が綺麗で
そしてその笑顔が懐かしくて。
脳のもっと深い深い奥底にある何かが開きそうで
そこで止まっている。
「月彦、さんあの……変なこと聞いてもいいですか」
月彦「えぇ、構いませんよ」
違うなら違うでいい。この心につっかえている物を取りたい。
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ふゆねこ(プロフ) - 今更ながら全て読ませて頂きました!!とっても面白くて大好きです!!!最後の方ずっと泣きっぱなしでした笑 素敵な作品に出会えてとても嬉しいです!! (8月14日 14時) (レス) id: 8e85720291 (このIDを非表示/違反報告)
あいみ(プロフ) - 一から全部見させて頂きました!!!何かもう、最高すぎて、途中鳥肌たったり。最後もう感動しすぎて、号泣しましたよ。最ッッッ高です!ほかの作品も更新頑張ってください! (2022年6月13日 13時) (レス) @page30 id: 2cf40cafe5 (このIDを非表示/違反報告)
指切り(物理) - 素敵な作品をありがとうございましたァァァァァァ! (2022年4月29日 19時) (レス) @page30 id: dfc5bee49e (このIDを非表示/違反報告)
桃の缶詰 - 面白すぎて1日で読み終えてしまいました!!すごい感動しました。この作品の設定とても好きなので、番外編とか書いて下さると嬉しいです。お忙しいと思うので、書きたくなったらお願いします!!ずっと待ってます!!! (2022年2月25日 21時) (レス) id: d0d8222ebf (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃん(プロフ) - 全部読み通しました!めっちゃ感動しました!ありがとうございます😭 (2022年1月2日 15時) (レス) @page30 id: 383abb7ef4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:翔月 | 作成日時:2020年10月9日 16時