第11話−藤咲あかり− ページ13
あれから三週間がたった。
いつも私の右斜め前にいた姿が消えた。
いつもそばに居てくれた笑顔がきえた。
いつもの「あたりまえ」が消えた。
「わけわかんない」
麻友がいないことも何もかも。わけわかんない。
「......うん」
麻友と別れてから三週間。
ただひたすら走って走って、走り続けて気が付けば璃埜の家の近くにいた。
何をする気にもなれず、でも何もしないのは辛すぎて、三週間がたった。
「お母さんとは連絡ついた?」
璃埜のお母さんは今は海外にいて、この間からずっと連絡しようとしているけど.......
「いや、まだ何も.....そっちは?」
「.......」
この三週間で色んなことが変わった。
馬鹿みたいに人が騒いでいた東京の街はびっくりするくらい静かになった。
阿呆みたいなことで大騒ぎしていたテレビは“阿呆みたいなこと”に殺された。
璃埜の家に着いてからしばらくの間はテレビも見れていた。
そこで、あの“バケモノ”が現れているのは東京だけではないことがわかった。おそらく全国規模だということも.....。
でも、詳しいことは何もわからずに2、3日でテレビも騒ぐのをやめた。
ヴーヴー
「.....!!」
突然スマホが通知を知らせたから床に置きっぱなしになっていたのを見るとメッセージが1件来ていた。
「....朋美から....?」
恐る恐る璃埜が聞いてきた。
璃埜はあたかもバッドエンドのホラー映画を見終わった直後のような顔をしていた。でも、たぶん私の顔だって大概だったろう。
バクバクする心臓と手の震えを抑えてアプリを開くと「朋美」という文字の横に赤い印。それだけで身体中から力が抜けていくのがわかった。
「うん.....朋美から...。」
「よかった.....。」
璃埜も安堵して息を吐いていた。3週間も待ってやっと来た返事だ。
朋美は.......、朋美は生きていて本っ当にに良かった。
「それで、朋美の方はは大丈夫なの?」
璃埜に言われてまだメッセージを確認してないことを思い出す。
「あぁー....、大丈夫だって。そっちはあんまり被害ヤバくないらしい。」
「.....そう...。」
そういうと璃埜は少し考え込んで黙った。璃埜は何かを考える時絶対に数十分は黙ったままだ。
その間私は最近考えるようになったことを頭の中で整理する事にした。
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作者名:詩雨・yuuhi | 作成日時:2018年8月10日 19時