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6話 ページ7

「そういえばさっき、Aちゃんのクラスの子、花子さんの話してたよね」

「そうですね」

「は、は花子く…花子さん!!って本当にい…いるのかな?」


お弁当を食べ終わった頃、女子というものは噂話が好きなのか、彼女も学園七不思議の話をしてきた。もちろん私は源家の人間であるため、把握しているしいることと知っている。会ったことは無いが。否、もしかしたら昨日トイレにいた少年が…?まさか、花花子さんが男の子なわけない。

…けれど私は何となく察してしまった。彼女の喋り方がぎこちないのと、明らかに『花子くん』と言おうとした。

ということは、彼女はトイレの花子さんと関係があるんじゃ…?


「な、何でも願いを叶えてくれるなんて素敵よねー、Aちゃんはなにか願い事は無いの?」

「…別に」

「またまたーそんなこと言わずに、ね!」


先程と同じように強引に手を引かれたかと思えば昨日と同じ女子トイレに連れていかれた。


「せっかくだしAちゃんもなにかお願いしてきたらー?私はここで待ってるからさ!!」


唯一の逃げ道である出入口は塞がれた。ここは3回なので窓から飛び降りる事も出来ない。

ここは腹を括ってお願いするしかないか…。あの願いが叶えば私にとっても万々歳だもの。


『呼び出し方はね、トイレのドアを3回ノックするの』


こん、こん、こん


『その次に唱える呪文がね────』


『「花子さん、花子さん。いらっしゃいますか?」』


そう唱えた時、トイレの扉が開いた。以外にも「あー、本当に実在したんだな」などと冷静に考えていたが、ふと背後に怪異の気配を感じた。


払い屋の血が流れているせいか、怪異の気配にも敏感だ。

思わず、兄から預けられている短刀を手に取り背後いた怪異の首元にあてがった。


『Aは女の子だから払ったりはしなくてもいいけど、もしもの時のためにこれを持っているんだ』


兄から何度も言われた言葉。

よく見れば、その怪異は昨日見た男の子だった。


「おー、こっわ。」


へらりと笑った怪異は、私の体を差し押さえようと手首を押えてそのまま私を壁に押付けた。
男女の差というものか、あっさりと敗北。別に勝負をしていた訳では無いけど。

私の太ももを弄り、専用のベルトから鞘を抜き取ると、ぽーい、とその辺に投げ飛ばした。
私はと言えば、擽ったさに似た不快感に耐えるために、ずっと口を抑えていた。

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作者名:あめり | 作成日時:2020年1月18日 23時

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