KING【ars M.A】 (ページ4)

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とページ4

初出社の日。

私は指定された第2会議室へと向かう。

コンコンとノックすると、中から「どうぞ」と声がしたので「失礼します」と扉を開けた。

そこに居たのは、優しい面立ちの穏やかそうな男性。

「おはようございます。風見Aさんですね？」
「はい。おはようございます」
「こちらにお掛けください」

言われるまま、そこの椅子に座る。
オシャレな机を挟んだ向こう側に男性も座る。

「初めまして。私、相葉の秘書の風間と申します」
「初めまして、よろしくお願いします！」

...ん？社長の秘書さん？

「早速、風見さんの配属なんですけれど」
「はい！」
「社長の運転手、という事で」
「.....はい？」
「相葉社長の、運転手をお願いします」

え？
え？ゲームの開発...じゃないにしても、庶務とか経理とかあるよね？
何の知識の無い私はきっとそーゆー部署に配属されるだろうってのは考えてたけど。

え？
え？

「うんてん...しゅ？」
「はい。普通免許はお持ちですよね」
「はい...持ってますけど...」
「では、行きましょう」
「えっ！？」

風間さんが立ち上がり、「さぁ」と私を扉の方へ促す。

ニコニコニコ。
人畜無害な微笑み。

「...はい」

よく分からないまま、私は風間さんと会議室を出た。

廊下を歩いてると、すれ違う社員さんが風間さんに頭を下げ私を見て「誰だろう？」って顔をしつつも会釈してくれる。
私もペコペコ頭を下げながら、風間さんの後ろをついて歩く。

着いた扉の前。
風間さんがノックをし、すぐに入って行く。

「お連れしましたよ」

そう言いながら、風間さんに中へ入るように誘導される。
恐る恐る入ったその部屋は、白いタイル張りで明るい。
部屋の真ん中に、パソコンのディスプレイが何台か置かれた大きなデスク。

「ありがと、風間ぽん」

そのデスクに座ってる、相葉社長。
今日はゆったりした白いニットを着てる。似合う。

「おはよ、風見さん」
「あ...おはようございます！」
「ってゆーか風見...って、風間ぽんと苗字似ててややこしいね」

社長が風間さんをチラッと見てから、私を見た。

「Aちゃん、で良いよね？」
「...へ？」
「ね」

コテン、と小首を傾げられて「はぁ」と頷いてしまう。

「って事でAちゃん！今日から運転手さん、よろしくねー」
「あ...あの、どうして運転手なんでしょうか...」
「んー、シミュレーション？」
「シミュレーション...？」
「そ」

社長が、フフッと笑った。