KING【ars M.A】 (ページ2)

今日:3 hit、昨日:7 hit、合計:1,158,097 hit

子ページ2

小さな頃からゲームが好きだった。

母親に『頭の体操になるかも』と与えられたオセロから始まり、トランプや人生ゲーム。
父親がやっていたテレビゲームを私もやらせて貰うようになり、アクションもRPGも大好きになった。

携帯ゲーム機も、もちろん持ち歩いてた。
すれ違い通信とか、ワクワクした。

スマホが普及してゲームアプリがどんどん配信され始めた時、何て素晴らしい世界になったんだ！と歓喜した。

色んなゲームをした。
電車で隣のサラリーマンが同じゲームをしてると、勝手に親近感を持ったりして。
私はゲーマー女子。自覚あり。

そんな私が突如ハマったのが所謂、恋愛シミュレーション。
それまで『恋愛シミュレーションなんてゲームじゃないしー！』なんて鼻で笑ってたはずなのに。

何となく暇潰しにやってみたら、あれよあれよ、簡単に転げ落ちた。

次はどれにしよう、次はどのシチュエーションにしよう、次は、次は...と手当り次第やってる内に気が付いた。

全てが面白い訳じゃない。
途中で「何だこれ」ってシラケる物もある。
結局、ストーリーに無理が出て来ると面白味も欠けてくる。

そんな中で、あるレーベルの恋愛シミュレーションだけはどれも面白かった。

それがAIBER GAME。
私がその会社を、意識し始めたのはこれがキッカケ。

普通のOLをしながらも「私の人生、このまんまで良いんだろうか...」と思い始めてた。
過去の彼氏達も、私のゲーマーっぷりに離れて行った。

28歳。
動くなら今か？...なんて思ってた時。

何気なく見てたサイトで、AIBER GAMEの中途採用募集がある事を知った。

専門の学校を卒業した訳じゃない。
ゲームが好きではあるけど、知識があるって訳でも無い。
でも、チャンスがあるって知ったのにエントリーすらしないのはどうなんだ！と自分を奮い立たせた。

「ダメで元々！」

ポストに履歴書を投函し、私は「宜しくお願いします」と手を合わせた。

・

目の前には大きな大きな窓を背にした、王子様。

その両サイドに、数名。

「面白いね、キミ」

王子様が大笑いしてる。

奇跡的に辿り着いた最終面接で、私は大笑いされているのだ。
綺麗な笑顔で笑われているのだ。

「えっとー、キミお名前は何だっけ？」

履歴書をペラペラと捲りながら言った王子様に

「...風見Aです...」

そう、答える。

「風見Aさん、よろしくね。採用」

空耳か？と思ってしまったのは、仕方ないと思う。