Laundry【ars K.N】 (ページ22)

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その博覧会は相当規模の大きい物らしく、ゲームにそこまで興味の無い私でもちょっと楽しそうだなと思った。

こんな所にカズと行ったら、彼はどんな顔をするんだろう。

どんな風に楽しそうに笑うんだろう。

どんな風にゲームの説明をしてくれるんだろう。

「...カズ、私にゲーム教えてよ...」

せっかく嫌いにならずに済んだゲームやゲーマーを、私はまた嫌いになっちゃうよ？

『この博覧会には、日本のゲーム会社も多数参加してるんですよ！』

TVからは現地リポーターの声。

『今日は、その中のひとつ。日本国内最大手である二天堂の社長さんにお話をお聞きしたいと思います！』

二天堂って名前は、ゲームに疎い私だって知ってる。
主人公が髭オーバーオールのオジサンのスーパーミャリオが有名。

どうしよう、あのモデルって社長さんだったりしたら！

ちょっとワクワクした気分で画面を見てると

「.....え？」

『二天堂社長、二宮和也さんです！よろしくお願いします！』
『どーもー二宮でーす』

「...嘘でしょ...」

そこに現れたのは、髭オーバーオールオジサンのコスプレをした

カズだった。

どこを突っ込むべきなのか、分からない。

二宮和也...確かに『カズ』だ...

何...何！？

そのコスプレ何！？違う！そこじゃない！

二天堂社長って何！？

テレビの中では美人レポーターにコスプレを褒められてカズがウヒャヒャって笑ってる。

社長なんだったら、もうちょっと上品に笑いなさいよ！

...って、だから社長って何！？

だって、カズはいつだってダルダルな服にモサモサ頭で

安い牛丼や缶コーヒーで「うめぇうめぇ」って言ってて

何といっても、家に洗濯機が無いんだよ！？

私と同じお貧乏だと思ってたのに！

フザけた格好でカズがインタビューに答えてるんだけど、全然頭に入って来ない。

久々に姿を見れたってゆーのに、あの人何て格好をしてるの！あの格好良いスーツで良いじゃん！

ってゆーか

「録画！」

今から急いで帰った所で間に合うはずが無い...。
絶望で頭を抱える。

『博覧会はあと一週間続きますが、二宮社長もまだこちらに？』
『いえ、もうオレ充分お仕事しました！』

その声に顔を上げると

『日本に会いたい人が居るから、今すぐ帰ります』

TVでは付け髭をペリっと剥がしたカズが、ニィっと笑ってて

「うわ、すげぇタイミング」

背後から、さっきまでTVから流れてた声が聴こえた。