鯉伴と乙女の子 ページ17
嗚呼、ここはどこなのだろう。確か、私は死んだはずだ。姉の旦那に刺されて…
「貴方は確かに死んだわよ」
貴方は？
「私は壱原侑子。貴方と取引したいのよ」
取引？
「そう。今の貴方は魂だけ。それもある男のせいで転生できない。このままの状態が続けば消滅するわ」
そうなのか…
「消滅をしなくてもすむ方法があるわ」
それは？
「貴方をある女性の子にするのよ」
その女性はどういう人なんだ？
「人ではないわね。生前は人だったけど、今は妖怪よ。見目麗しく、優しく、黒く長い髪を持つわ。寺子屋の先生をやっていたわね。愛する男と結婚したけれど、狐の呪いのせいで子が産めないのよ
だから、貴方をある女性の子にしようと思っているのだけれど……」
それには代償が必要になるのか？
「代償は女性の方から既に貰っているわ。どうするの貴方は？」
私は……
※ ※ ※ ※ ※
「…お願いします。侑子さん。私と鯉伴さまと子を産みたいのです」
「…残念だけれど。それはできないわ」
「どうしてっ！」
「奴良組は羽衣狐に呪いのせいで妖怪と妖怪の間の子を産めないのよ。羽衣狐に呪いを解くには貴方の命以上の代償が必要になるわ」
「それでもっ！私は「ただ、それに近しいことはできるわ」それはどのような方法なのですかっ！」
「今、転生できない命があるのよ。その命を貴方のお腹の中に入れるのよ。つまり、結果として産まれた赤子は貴方達の子であって、子ではないの」
「私は……」
※ ※ ※ ※ ※
おぎゃあぁぁぁぁぁぁ！
「産まれたわよ。貴方の子」
「あ、ああ、この子が私と鯉伴さまと
子」
ありがとう、私を産んでくれて
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作者名：非辻 | 作成日時：2017年7月19日 0時
