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翔「うめぇ」
「あわてなくても誰も取らないよ」
翔「だって超うめぇんだもん」
味気ないとさえ思わなくなった
ひとりごはんだけど
やっぱり美味しい、美味しいっていって
食べてくれる人がいるっていうだけで
こんなにも明るくなるなんて。
…それが嬉しくてつい、翔のためにいつもより手の込んだものを作ってしまう
「おかわりあるよ、食べる？」
翔「食べる！
…つぅか二宮とかにもさ、もう食わせたの」
「なにを？」
翔「んー、Aの手料理」
「作ったことないかな
ま、そもそもお互いの家も知らないし」
翔「そっかそっか」
「なんで？」
翔「Aの手料理食うのは
俺だけでいんじゃないかなーってね」
「なにそれ」
翔「なんでもねぇよ」
ほんと
なにそれ、なにそれ…
他の男にはつくんなって？
お前は俺の女だから
キャー…
翔「なにしてんのお前」
「…あ、ごめんなんでもない」
妄想もここまでくるとヤバイな…
翔「お か わ り 頂戴」
「はいはい」
翔「それとさバレンタイン
今年はチョコなし？」
「なにー？私からもらわなくても
女子社員から腐るほどもらえるでしょう」
翔「全部義理チョコ
愛情なんてこれっぽっちもこもってねぇよ」
「いや…愛情どころか
違うものも入ってそうだけどね？」
翔「違うもんてなんだよ
怖くてくえねーじゃん」
「そりゃぁ…ねぇ」
翔「んで、くれんの？くれないの」
「言っとくけど私があげてたチョコも
愛情なんて一切入ってない
義理チョコ兼友チョコだからね」
翔「あんな愛情たっぷりの友チョコあるか？
黒いフィルムに包まれた板チョコ」
「ブラックのね
どうも溶かすのがめんどくさくて」
翔「貰った時なんかの嫌がらせかと思ったよ」
「男にチョコあげるくらいなら
その分貯金したほうがマシ」
翔「なら二宮にもやらないってこと？」
「んー…多分ね、二宮くんあんまり甘いもの好きそうじゃないし」
翔「だったら尚更、彼氏にあげるはずだった分のチョコ俺に頂戴」
「ご飯連れてってくれる？」
翔「板チョコ一枚でフレンチ奢れと？」
「それくらい朝飯前でしょ？」
翔「朝飯前って、使い方微妙だけど
チョコもらえんならなんでもいいよ」
「ほんとよくわかんないよね翔って」
翔「お前が鈍感なだーけ
…もう遅いしそろそろ帰るわ」
ふたりがひとりになる瞬間
この空間だけはいつまでたってもなれない
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作者名：和智 | 作成日時：2016年1月27日 0時
