グレーの空 ページ5
「あっカズ」
医務室からの交際は
もう2ヶ月になろうとしていた
翔と約束していた食事会は
たった、たった1日で新しい女ができたらしく
あっさりと私のタダメシが、消えた。
和也「声でかいし、それに…
会社では二宮くんでしょ？」
「でも隠す必要もないでしょ？
うちの会社は職場恋愛禁止じゃないし」
私のことは名前で呼ぶくせに…
和也「恋愛にうつつ抜かして
仕事してないとか言われんのが嫌なだけ」
「二宮くんにそんなこと言う人いないでしょ？」
隣の部署の情報は自ずとはいってくるわけで
二宮くんは人の3倍仕事ができるとか
こっちに移動してきてわずか数ヶ月で
課長になったとか….
和也「いるよ」
「嘘だー」
和也「例えばAさんの上司の櫻井さんとか」
「翔のは絶対ひがみだよ、二宮くんみたいに仕事も私生活も充実してる人が羨ましいの」
和也「…あ」
困ったように笑いながら指差してる方を見ると
鬼のような形相を浮かべた翔がいた
和也「昼休憩終わるからじゃーね」
「二宮くんちょっ…」
翔「誰が羨ましいだって？」
「聞き間違いではないでしょうかね
さっ、仕事、仕事」
翔「…ほぉそんな仕事が好きか？
なら今日も残業せざるをえないほどの仕事をこの部長様が与えてやるよ」
「嫌がらせだ、パワハラだ」
翔「だったら陰口なんか言ってんな」
「やぁだ陰口なんかじゃないですよ部長
これはあれですよあれ」
翔「あれって？」
「…」
翔「はい、残業決定ー」
「意地悪」
翔「嘘だよ、ほらとっとと戻れ」
「翔もでしょ」
翔「いや俺はちょっと用があるから」
「外？」
翔「ボード見ればわかんだろ
櫻井、外出って貼ってありますけど？」
「ならエクレア買ってきて」
翔「上司をパシるな」
「あ、Wクリームのエクレアだからね
間違って買ってきたら一切口きかないから」
腐れ縁とは実に便利な関係。
上司だとしてもパシれちゃうんだもん
翔「そんだけ言うならお駄賃用意しとけよ
それと夜、お前ん家いくから
夜ご飯カレーな」
「はいはい、ほら早く行かないと」
翔「お前が足止めしたんだろ」
「すみませんねーはい、行ってらっしゃい」
女と別れてから数週間
手作りのご飯が恋しくなるのか何なのか
突然、私の家に来てご飯を食べて
何もせずに帰る
4年前からのある意味行事みたいなもの
ほら持ちつ持たれつ…ね？
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作者名：和智 | 作成日時：2016年1月27日 0時
