恋唄-オフィスラブ-【all】 (ページ12)

今日:14 hit、昨日:1 hit、合計:305,118 hit

思い出は美化されるものページ12

春

はじまりの季節。

将来のために通う大学

大きな桜の木の下で未来を見てた

智「桜、綺麗だね」

「半分は散っちゃってますけどね」

智「桜って散るから美しいんでしょ？」

「枯れた木は何の意味もないですよ
桜だってイチョウの木だって
咲いてる時しか見向きもされない」

智「なんでイチョウの木？」

「好きなんです
桜もイチョウも、満開に咲く」

智「…枯れた木は見ないんだ？」

「枯れた木を見ると
フって心が重くなるんですそれが嫌い」

智「それがみんな好きなんだよ、満開に咲いて頃、花見や騒ぎあってた時を思い出して…」

「…」

智「たった一人で見る枯れ木
あーこの花が咲いてた時は楽しかったって
思い出して懐かしんで、それの繰り返し」

「あなたは？」

智「俺は花より団子
花見よりもお重に入ったごはんとビールが好き」

「それじゃぁ答えになってない」

智「それでいーの
君みたいに自分だけが不幸みたいな顔してる子には俺のこと教えてあげなーい」

「初対面なのに酷いこと言うんですね」

怒る？
そんな事したって私になんのメリットもない

智「それで感情隠してるつもり？
それとも気づけって逆にアピール？」

空気の読まない人

この人といると馬鹿みたいに
感情で生きる女になってしまう

気づけない胸騒ぎ

智「本当に不幸な人っていうのは
そんな顔すらできないんだからね？
堕ちるとこまでおちたらあとは笑うしかないんだよもう這い上がることはできないから」

「だからあなたは笑ってるの」

智「期待を裏切って悪いけど
俺の場合は逆かなぁ
幸せすぎるから笑ってるの」

「じゃぁ幸せな人と
不幸な人の区別はどうすればいいの」

智「幸せな人には幸せな人
不幸な人には不幸な人しかよってこないから」

「あなたが幸せって言うなら
私も幸せな人ってこと」

智「んふふ、単純だね」

もしかしてからかわれてる？

そっか、かわれてるんだ…もういい

遠くには親友が見える

絶対的な私の味方。

翔「待った？
サークルの勧誘がすごくって」

「もう入ってますって嘘つけばよかったじゃん」

翔「いってもしつけぇんだもん」

「はーもう翔のせいでお腹ぺこぺこ
今日はなに奢ってもらおうかなぁ」

翔「またおれの奢りかよっ」

「ごちそうさまでーす笑」

誰にだって見せられない顔のひとつくらい…

気づいた時には彼はもういなかった。