恋唄-オフィスラブ-【all】 (ページ11)

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雅紀「ばいばっーい」

ほろ酔い状態な3人はシンデレラもねむる

1時ごろに解散した

翔「いい加減、手ちぎれるよ」

雅紀「大丈夫っ大丈夫っ笑
また飲もうねー」

「相葉くんが無事にタクシー乗るまで
離れられないんだけど」

雅紀「酔っぱらい扱いしやがってぇ
ちゃんと乗れますよー」

グダグダ言いながらタクシーに乗り込み

翔も明日は早いらしく
相葉くんと同じタクシーに乗り込んだ

翔「Aも乗ってけって」

「すぐそこだし
コンビニ寄りたいから大丈夫」

翔「…なんかあったら電話しろよ
一応、女なんだから」

「一応は余計でしょ！
…ほら明日早いんでしょ？おやすみ」

翔「おぉ」

雨が降っていたのか地面は濡れていて

水しぶきを上げてタクシーは進んでいく

水たまりをいくつか飛び越えて
我が家へと急いだ

「…」

智「ふふっおかえり」

「なんでいるの」

智「会いたくなったから」

5年前、別れを告げることもなく
私の前から急にいなくなった男

「話すことなんてないから」

震える手じゃ鍵は開かなくて

いとも簡単に手を強く握られ

視界は遮られる

懐かしい感覚に酔いしれてはいけない。

智「俺は話したいことたくさんあるよ
5年前のあの時、父さんが死んだんだ」

「逢えたの…？」

智「逢えたの、か…
俺にはそんな考え思いつかなかった
会いたいなんて思ったこと一度もないから」

「じゃぁ泣いてもないの」

智「他人を思って泣くほど優しくないから」

「泣きなよ、お父さんが死んだんでしょ？
そんな事で強がったって意味なんかないよ」

智「泣いたって戻っても来ない
文句の一つだって言えない」

たまたま出会って恋に落ちた

交際期間が長くなるにつれ

傷の舐め合いだと気づいても

すがる相手がいなくなるなんて
耐えられるはずもないと思っていた

5年離れても大丈夫だったのは翔がいたから

「そうだけど
でも、だからってなんで今更」

智「本当に一人になって頑張ってきたけど
もう限界なんだ…」

厚い雲に隠れてるはずの月が
ちらちらと彼の顔を照らしだし

ひとしずくの涙が頬を伝う

ほんのり色づいた唇に吸い込まれるように

キスをしたのは私。

「外は冷えるから」

部屋に誘い出したのも私

ココアを出したのも私

智「A…おれ」

カラダに触れようとする手を

拒んだのも私…。