婚期を逃した三十路女 ページ1
大学卒業後
すぐに入社した会社で勤め続けて10年
会社、家、会社、家
ほとんど毎日このサイクル
残業した日には最近は家に帰るのも面倒で
会社の医務室で寝泊まり
周りを見渡せば若い子ばかり
人事はバカなのか
やたら若く責任感のない派遣さんばかりを雇う
残業よりデートをえらぶ。
でもそんな子達を見てると
私ってなんでこんな仕事頑張ってるんだろうって
時々無性に虚しくなる
そういえば私…
男の裸みたのいつだったっけ？って
思い出せないくらい私の人生は枯れている
「3年は見てないな」
翔「なにを？」
「うわっいたんだ」
翔「残業？」
「まぁね派遣さんにまかせた仕事
半分も終わってないんだもん」
翔「佐藤さん？」
「残業とかぁありえないですぅー
任された仕事終わってもないのに
帰るほうがありえないでしょ？」
翔「ふっ笑おつかれ」
「うわぁ今笑った？笑ったでしょ
ほんと他人事だと思って…」
翔「おれには関係ないもん」
「サイテー
なんでこんな奴が部長なんだか」
翔「できる人だからでしょ」
「男ってだけで有利なのよね」
翔「Aに出世欲とかあんの？」
「どうせ寿退社なんてありえないから
出世でもして自分で稼ぐしかないからね
老後は海外旅行とかしたいし」
翔「ふーん」
「…いって損した」
この男、櫻井翔とは
昔からこういう男だった
八方美人というか誰からも好かれる人
だけどほんとは意地悪くて
人の事をバカにするようなやつなのに。
同じ地区に住んでた私たちは
小中高が一緒だった
でもそんな翔には
たったひとつ頭が上がらない事がある
落とされ続けた就活
もう実家の和菓子屋を継ぐかと諦めていた時
翔の親のコネで入れてもらったのが
この会社だった。
翔「…おれが叶えてあげよっか？」
「はっ？」
老後の世界旅行
お金払ってくれるの？
それとも出世？
もしかして、寿退社….
いやありえない！
うんこれだけは絶対ない
翔「寿退社したいんなら
櫻井の名字あげてもいいよ」
「うそ…」
翔「うん、ウソ笑」
「なにそれ私のトキメキ返しなさいよ！」
翔「そっかそっか
男との経験も何年もなくなると
冗談も通じなくなんだな」
「ほんとひどすぎる
いいわよみてなさいよ！
そのうちいい男見つけて結婚してやるんだから」
翔「何十年後の話？」
「そんな事言ってられるのも
今のうちなんだからね」
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作者名：和智 | 作成日時：2016年1月27日 0時
