Clear-Crane-Crime 9th【arsM.A】 (ページ20)

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300.NEW FACE。ページ20

櫻井さんが立ち上がり、電話を取る。

「あー、はいはい？来た？分かった、通して」

受け答え方からして、受付からの電話だろう。
智さんの新しい秘書になる男性が来たのかな...

「もう来るわ」
「はいっ！」

やっぱり！
何だかじっとしてられなくて立ち上がる。

「何、緊張してんの？」
「...やっぱり初対面の時は緊張します」
「緊張なんかする必要無いけどなぁ」
「え？」

櫻井さんがムフッて笑ったと同時に、ノックの音が響いた。

「はーい、どうぞ入って」

ドアが開いて、男性が社長室に入って来る。

「失礼しまーす。うー、今日すっげ寒くない？」

その人はコートの袖を萌え袖にした両手を口の前に当てて、ハァと息を吹き掛けてる。

「...え？何で？」

私の意志とは関係なく零れた声。
今の私、完全に脳と口が直結してた。

「何でって、オレ今日からここの社員だからねぇ」
「え！？何で！？」
「うっせぇなぁ、でも子」
「何で！？」

櫻井さんを見ると、グフグフ笑ってる。

「何で二宮さんが！？」

本当にうるさそうに片耳に指を突っ込んで顰め面しながら口角を上げたのは、間違いなくスーツ姿の二宮さんで

「何回同じ事言わせんのよ。でも子は理解力ゼロなのか？」

憎たらしい喋り方も、『でも子』って呼び方も、紛れも無く二宮さんでしかない。

「オレ、翔ちゃんの秘書になんないか？ってずーっと誘われてたのよ」

櫻井さんが「実はずーっと口説いてた」と頷いてる。

「まぁ、熱烈だったからさ。根負けして、良いよーって返事してあっちの仕事辞める手続きとかしてたらさぁ...」

二宮さんが、私を顎でしゃくる。

「でも子が色恋沙汰起こしたから、大野さんの秘書にって言われて」
「色っ...！？」

私がっ！？
いや、原因は私なのかもしれないけど悪気は無いしっ！

「ニノ、意地悪な言い方しないの。Aは何も悪くないんだから」
「無意識にオトコを誑かすタイプなのかな？オレは全然そそられないけど」

クフフと可愛く笑う二宮さんが、私の顔を覗き込んだ。

「色気のカケラも無いのにねぇ。相葉さんも大野さんもコレのどこが良いんだろ」
「うるさい！馬鹿っ！」
「はぁ！？ちょっと翔ちゃん！社員教育どーなってんの！」

言い合ってる私達を見て、櫻井さんが「仲良いなぁ！」なんて楽しそうに笑ってるから「どこが！」って返したら

二宮さんは「まぁ気は合うけどねー」なんて言うから、ちょっと調子狂う。

ツンデレ？違うか。