Clear‐Crane‐Crime 7th【ars M.A】 (ページ21)

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231.バカっぽくない。ページ21

「格好良い...ですよねぇ...」

慣れって恐ろしいもので、二人で居るとたまにちょっと雅紀くんの格好良さに麻痺して来るけどやっぱりこーゆー場で見ると再認識させられる。

「すっごい格好良いんですよねぇ...」
「ふふっ」

智さんが笑った事で、自分の発言が痛々しい事に気付いた。

「...あっ！いや、何であんな格好良いのに私なんてって事で！ノロケって訳じゃ...」
「それもノロケになってるよ？」
「あー...そーじゃなくって、って言うか...」

もう何を言っても墓穴だ。
黙ろう。

「良いと思うけどなぁ」
「...え？」
「日本人は恋人を悪く言いがちでしょ？『それが恥の文化だ』とでも言いたいのか知んないけど」
「確かに...」
「恋人なんだから好きに決まってるのに。好きって事は、誰よりもその人が素敵に見えてるって事なのにね」

ほわ、っと智さんが笑う。
彼を幼く見せる歯並びが、口元にチラっと覗く。

「だから彼氏を格好良いって言えるAちゃんって、良いなって思うよ？」
「アハ、そうですか？バカっぽくないですか？」
「ううん、全然。相葉ちゃんが羨ましいもん」
「智さんなら、そんな風に想ってくれる人が居ると思うんですけどねぇ...」

実際、何人もが仕事出来なくなる位に堕ちてしまった人なんだから。
智さんさえ本気を出したら、どんな女だって簡単に堕ちる気がする。
むしろ、男だって堕ちるんじゃなかろうか...

チラリ、櫻井さんを見る。
あの人すっごい智さんを愛してる感じするんだよなぁ...もしや。
あんなに男前で社長なのに彼女が居ないなんて、やっぱりおかしい！

チラリ、二宮さんを見る。
あの人さっき、智さんに会いたいって呟いてたよなぁ...もしや。
あそこまで小悪魔男子なのに彼女が居ないなんて、やっぱりおかしい！

「何見てんだよ」
「あ」

ジー...っと見てたら二宮さんがジトーっと私を見た。

「別に見てませんけど」

プイっと顔を逸らしてビールを飲んでると「相葉さんのオンナ、超生意気だからちゃんと躾けて！」ってまた言ってる。

「ちゃんと調教してるってば」

飲んでたビールが噴き出た。
トンデモ発言をした雅紀くん本人は、ダハハって笑ってる。
櫻井さんも「マジか！」って大笑い。
二宮さんは「躾だつってんだろ」って呆れ顔。

智さんがお手拭で私の噴き出したビールで汚れた畳を拭きながら

「Aちゃん、調教されてるの？」

サラっと訊いて来るから、ブンブン首を振った。