Clear‐Crane‐Crime 4th【ars M.A】 (ページ13)

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118.殺傷能力。ページ13

いかにもこーゆー場で遊び慣れてる雰囲気の、薄着で派手な女の人。

半分分けてくれよ...って言いたくなる程のたわわなお胸が先生の背中でムギュっと潰れてる。
男性ならきっと、たまらない状況なんだろうと思う。

なのに先生は、大して喜んでる感じでも無い。
ただ、迷惑そうって訳でも無い。

ちょっとだけ首を後ろに向けて「久し振り」って、その彼女に微笑んだ。

先生の顔と彼女の顔の距離は、見てるこっちが照れてしまう位。

思わず、身体ごと顔を背けてしまった。
ジワジワと感じるのは、きっと......嫉妬。

潤さんが何も言わず、私の前におしぼりを置いてくれた。
その気遣いに頭を下げて口元をおしぼりで押さえる。
あったかくて、気持ちも落ち着いて来た。

「ねぇ、マサキ！あっちで飲んでるから一緒に飲もうよ」

可愛い声。
自分の声を思い出してみて、残念になって来る。

先生、行っちゃうかな...
行っちゃうだろうな...

でも仕方無いよね、って思いながらおしぼりに顔を押し付ける。

「ありがと。でも、今はこの子と飲んでるからごめんね」

先生の言葉に、おしぼりで顔を半分隠したまんま二人を見てしまった。

はっ...！睨まれるかもしれない！なんて警戒したけど、その女の子は別に不機嫌そうでも無く私をチラっと見て「そっかー」って言うと

抱き着いたまんま、また先生に顔を近付けて

「今度は私とも遊んでね？」

無邪気に言うと、スルっと腕を先生から解き

私に「邪魔してごめんね！バイバイ！」ってニッコリ笑うと、潤さんからお酒を受け取ってフロアに戻って行った。

「...あの、良いんですか？」

顔を押さえてたおしぼりをテーブルに置き、彼女に手を振ってた先生に訊いてみる。

「ん？せっかくAちゃん独り占めできてるのに、どうして行かなきゃなんないの？」

破壊力どころか、殺傷能力までありそうな言葉にクラクラ。

クラクラしてる私に構わず、先生は手を伸ばして私の前に置いてるおしぼりを手にした。

「...さっきの子、綺麗ですね」

クラクラもドキドキも全然治まらないから、とりあえず何か言わなきゃって出たのが

何だか卑屈っぽい話題で、自分が嫌になる。

「まぁ、だいぶ綺麗だよね」
「...ですよね」
「モデルだもん、あの子」
「あ...モデル...」

ほら、もー...。

自分で話題を振ったくせに、何この絶望感。
自爆ハンパ無し。

「でも顔なんて、単なる飾りでしょ」

先生の長い指が、おしぼりを畳み始めた。