青天の霹靂８【イナGO】

8-10.芽吹く心配 ページ10

(！)イナズマイレブンSD、剣城くんと天馬くんのキズナボイスのネタバレを含みます。



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「昨日、女子トイレの窓から鳩が侵入してきたと連絡がありました。もしかしたらまた入ってくるかもしれないから、掃除の際には注意してね」

　音無先生の言葉を受けて、ミーティングルームのどこからともなく「鳩……？」「鳩が入ったの？」というざわめきが聞こえてくる。特に一年生は信じられないと言いたげな表情を浮かべていた。信じられないかもしれないが＿＿そして私も信じられなかったが＿＿事実だ。

「今まで誰も気付いてなかったんだ？」
「Aちゃん、掃除の時に見つけたんでしょ？ 大丈夫だった？」
「うん。鳩は剣城くんが逃がしてくれたし」
「じゃあ、円堂監督は鳩に悩まされてたってわけ？」
「それも違うと思うけど……」

　狩屋くんの言葉に信助くんは苦笑いで返した。
　「鳩でも」口を開いたのは輝くんだ。「窓を開けるたびに入ってこられたら、ちょっと困りますよね」

「うーん、剣城が追い払った猫もしばらく来てないし、大丈夫じゃないかな」
「そうだ、剣城くん今回もお手柄じゃん」
「あの猫、どこ行っちゃったんだろうねー」

　話しながらサッカー棟のスタジアムへ向かう。先程夕立が降ったため、第二グラウンドは芝生が濡れてしまった。


「結局、円堂監督の様子が変だった理由はわからないな……」

　天馬くんはその顔に心配を浮かべた。三年生の先輩たちは、円堂監督の変化に気付いている。このままだと一年生に気付かれるのも時間の問題だろう。「俺たちに話す必要がないことなのかもしれないけど」と、天馬くんはぽつりと零した。



　部活のあと、葵ちゃんは私にこっそり話してくれた。
　天馬くんたちが一年生の時、円堂監督が何も言わずに突然雷門の監督をやめたこと。それがチームに大きく影響したこと。この前聞いた、鬼道さんが雷門の監督だったことがあるというのは、この時のことだろう。
　その後も何度か、円堂監督が雷門を離れることがあったらしい。

　「天馬は、また円堂監督が雷門を離れることを心配しているのかも」と葵ちゃんは言った。それは一人の選手としてでもあり、キャプテンとしてでもあるだろう、とも。
　今はホーリーロードの真っ最中だ。円堂監督がいなくなれば、確かにチームへの影響は大きい。
　天馬くんを安心させてあげられる方法があればいいのに。それができるのは円堂監督だけのような気がして、はがゆかった。

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