8-27.練習の成果 ページ27
やってみます、とは言ったものの、私は錦先輩のように宙返りしたり狩屋くんのようにバク転したりはできない。なので、私の役割は中継だ。
3Dリフレクターのおかげでかなり攻めやすくはなったが、黙って雷門の攻撃を許す新雲ではなかった。準決勝への道は、そうやすやすと譲ってもらえるものではない。
「天馬くん!」
「よしっ!」
天馬くんへパスが通る。すかさず雨宮選手がマーク。二人の視線のやりとりには、時折火花が散っているように見える。
ボールの奪い合いを制したのは雨宮選手だったが、激しい競り合いの末、ボールはコートの外へ出てしまった。雷門のスローインだ。
天馬くんがボールを持って、サイドラインの向こう側に立った。新雲の選手はきっちりとマークについている。
どうする、と少し焦った時、選手たちの間を縫って、一人の人物が飛び出してきた。
「おおっと!? ここでディフェンダーの狩屋が飛び出してきました!! なんという大胆な作戦!!」
__合体技だ。ずっと練習してた技を試すんだ。
「輝くん、行くよ!」
「はいっ!」
ボールが輝くんに渡る。
彼は片手で輪っかを作り、口に加えた。彼の口笛が、天高く空へ響く。その音を合図に、天馬くんと狩屋くんがゴールへ向かって走った。
輝くんの足元の地面が割れ、五匹のペンギンが__信じられないかもしれないが__現れた。
「皇帝ペンギン!!」
輝くんが蹴ったボールの周りを、愛らしい姿のペンギンが舞う。
そこへ、ゴール前に走り込んでいた天馬くんと狩屋くんが同時にボールを蹴る。三人の力が集まったシュートが、ものすごい勢いで新雲のゴールへ向かっていった。
「二号!!」
「影山、狩屋、松風の合体技だーー!!」
実況席が、観客席の温度が一気に上がる。
視界の端で雨宮選手がゴール前に向かって走っているのが見えた。
__化身でシュートを止める気だ。
今シュートブロックでもされたら__そう思うといても立ってもいられず、私は雨宮選手の行く手を阻むように並走した。
私と雨宮選手の視線がかち合う。彼は冷静に状況を見極めてはいたが、その目は燃え上がるようだった。
「ゴーーーーール!! 皇帝ペンギン二号が決まりました!! 雷門同点に追いついたーーっ!!」
試合が振り出しに戻ったことを示すホイッスルが響いていた。
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春間(プロフ) - 爈久さん» 初めまして。コメントありがとうございます! 嬉しいお言葉をありがとうございます。今後も楽しんでいただけるようがんばります! (2021年2月7日 18時) (レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
爈久 - はじめまして!初めてのコメント失礼します。1話1話の話の展開がオリジナルで書かれていらっしゃるので、大変読み応えがあり ホールケーキ1個分食べた満足感があります。笑 更新の通知を楽しみにしています。 (2021年2月7日 3時) (レス) id: 49ee71ecf2 (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - こころさん» コメントありがとうございます。励みになります! (2021年1月25日 14時) (レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - 面白かったです 続き楽しみにしてます更新頑張ってください (2021年1月25日 1時) (レス) id: eb962bcdd2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:春間 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時:2020年11月1日 14時