4-8.泥だらけ、土まみれ ページ8
如月さんの察しがいいのか、私がわかりやすいのか、如月さんは「教えてあげようか？」となんでもないことのように言った。
「えっ、い、いいんですか……！？」
「うん。ま、できるかどうかはあんたの頑張り次第だけど」
その言葉にはっと現実に戻される。あんなすごいシュート、私に打てるだろうか。
いや、逆に考えよう。もしあの技が打てたら、次の試合も、もしかしたら＿＿。
勝てるかどうかはわからないが、なんとかチームの力になれるのではないだろうか。
少なくとも、このまま何もなしに試合に出るよりはましだ。
「＿＿教えてください、『すいせいシュート』……！」
.
その日から如月さんの猛特訓が始まった。
まず普通のシュートでさえまともに打てない私なので、コントロールやキック力を自力で調整する練習から始まった。
いくら悩んでも次の試合のスタメンが私だということは変わらないのだと、円堂監督と話してわかった。
しかし私が試合に出ないと言い出したら、それこそ部員みんなに迷惑だし、そもそもそんなことを言えるほどの勇気もない。
だったら試合までに少しでもレベルアップしたい。私のせいでみんなにかかる迷惑を、できるだけ少なくしたい。
全国大会まで時間は限られている。何とか試合で使えるよう、形にしなければ。
.
「難しいことごちゃごちゃ考えない！ シュートを決めることだけ考えるの！」
「はっ……はぁ、っはい……」
ボールを蹴り続けるうちに足の感覚が鈍くなっていた。
体力が底を尽きてくると、蹴り上げたボールに追いつくこともできなくなり、私は受け身も取れずに芝生の上に落下した。
「っ、う……」
疲れすぎて声も出なかった。もはや痛いとかそういったことを考えるのすら面倒だった。
「ちょっと、大丈夫！？」
如月さんが駆け寄ってきて私の身体を起こす。
「だ、大丈夫です……すみませ……」
なんとか両脚に力を入れて立ち上がった。
自分の姿を改めて見てみると、土や汗でひどく汚れていた。
「今日はもうやめておきましょ。身体を痛めつけるのが目的じゃないわ」
「すみません……」
地区予選決勝でもそうだったが、私は体力に一抹の不安があった。朝の走り込みは続けているものの、一試合分走り回れるだけのスタミナはまだついていない。
悔しい気持ちを抱えながら、私は顔についた土汚れを拭った。
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春間(プロフ) - 桜星。さん» コメントありがとうございます！ 助かります……！ (2021年2月25日 14時) (
レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
桜星。 - 4-3「怯え」の三行目、天馬のセリフが「次の試合こと」になっていますが、恐らく「次の試合のこと」ではないでしょうか。 (2021年2月25日 13時) (レス) id: 15148237ac (このIDを非表示/違反報告)
春間(プロフ) - なすびさん» ありがとうございます！ 楽しみにしてくださってとても嬉しいです。頑張ります！！ (2020年8月26日 18時) (レス) id: 71c8355ca9 (このIDを非表示/違反報告)
なすび(プロフ) - 続編おめでとうございます！剣城くん抜きで試合がどうなるか楽しみです！ (2020年8月26日 16時) (レス) id: c22c2e84dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：春真 | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/april_hrm
作成日時：2020年8月26日 12時
