163 vs プロトコル・オメガ2.0 [1] ページ30
一ヶ月前の日米親善試合の日にタイムジャンプし、会場近くに停車した。競技は野球ではなく、サッカーだ。試合は既に始まっていた。その様子を確認した円堂監督が驚きの声を漏らす。
「なんだって。もう試合が始まってるじゃないか」
「ムム。試合開始時刻より早い時間にセットした筈なんだが...おそらくプロトコル・オメガの仕業だろう」
「まだ試合は終わっていない。みんな、急ぐぞ！」
キャラバンを降りると、一人でぼんやりと立ち惚けていた人がいた。錦くんだ。
「ワシらがアメリカ代表、相手は日本代表、...ああ〜〜！混乱するぜよ！」
「錦くん、行こう！」
私は錦くんの手を取り、会場に向かって走った。
「相手はどうとか考えず、今は戦おう！」
「わ、わかったぜよ」
マネージャーが警備員を引き付けているうちに、私たち選手はグラウンド入場口から入っていく。目の前には倒れているアメリカ代表選手が11人。そして、それを見下ろしている日本代表選手11人。グラウンドには高い位置から黄色い光を放つボールがあった。
「あれは...」
「スフィアデバイスだ。あれで試合会場のみんなを洗脳しているんだ」
だから、誰も試合を止めないのか。
「やっぱり現れちゃいましたね」
目の前に現れたのは、水色の髪の可憐な少女。
「ワンダバさんとフェイさんね。私はベータ」
「アルファはどうした」
「さあ。こういうの、お払い箱って言うんでしょうか。残念ですね...」
彼女は背を向けてから、くるりと振り返って可愛らしく微笑んだ。
「私たちプロトコル・オメガ2.0。バージョンアップしちゃいました♡」
そして彼女は実況スタッフに対して操作をし、その実行内容について説明した。
「実況担当には貴方たちのデータをインプットしちゃいました。これで貴方たちはもうアメリカ代表でーす♡では、始めちゃいましょうか」
0-8で始まった日米親善試合。いきなりラフプレーで始まった。拓人くんが注意喚起するも、剣城が吹っ飛ばされる。あの剣城が避けられないなんて。
...そうだ。雷門のみんなの殆どは未来人と対戦したことがないのか。だから、そのスピードにまだ目が慣れていないんだ。しかも、相手はバージョンアップしたプロトコル・オメガ。苦戦するのも無理はない。
ベータが化身アームドで一点を奪う。それに対抗して、天馬も化身アームドしようとした。しかし、何度も挑戦するも、失敗に終わる。圧倒的得点差のまま、ハーフタイムを迎えた。
164 vs プロトコル・オメガ2.0 [2]→←162 アルノ博士登場！ [3]
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作者名：充滞 | 作成日時：2024年2月22日 1時
