47. 自嘲 ページ10
「...俺がサッカーを？」
彼は馬鹿にするように笑った。サッカーに対して嫌悪感を募らせているのは一目瞭然だった。正直、ここまでサッカーを拒絶しているとは思っていなかった。
兄弟にサッカー留学の話が来た時以来、彼は自分がサッカーに関わることで兄の活躍の機会を奪うことを危惧したのだろう。そして、サッカーを無理に嫌い、サッカーを好きな自分を否定することで、留学やサッカー自体を諦めた自分を正当化しようとしたのだろう。
人はいつだって自分を正当化しなければ、生きていけない。それは誰だって同じだ。
「うん。だから、サッカーを好きな気持ちをもっと大切にしてほしい」
そう言って、途中で口を噤んだ。自分の気持ちを彼にただ押し付けているように思えたからだ。
「...ごめん、ちょっと熱くなっちゃった。今のは聞かなかったことにして」
今の京介にそんなことを言っても意味がない。それは重々承知している。意味があるとすれば、本来同じことを訴える筈の天馬の役割に代われたということか。
でも、反応せずにはいられなかった。彼が剣城京介の声で、剣城京介の姿でそのようなことを言っているのだから。彼の口から自分の憧れを否定するような言葉は聞きたくない。そう思ってしまうのは我儘だろうか。
剣城京介は、いつだって自分を犠牲にしている。
兄に留学の機会を譲った件も、シードの件も、ファラム戦も。
敢えて自分の本当の気持ちを抑えて、常に大切な者のことを優先して行動する。そういう人だ。
だからこそ、彼を見てきた者としては、自分を大切にしてほしいと考えてしまう。自分の中にある「サッカーを好きな気持ち」を宝物のように大切に扱ってほしいと思ってしまう。
「っ...」
胸が苦しくなった。この気持ちが空振りしたように感じたからだ。それもその筈、今の京介にとってはただ嫌悪感を募らせる言葉にしかならないからだ。だが、もしかしたら伝わったかもしれないという期待もほんの少しだけはあった。
「...お前って、そういうこと言うんだな」
彼はただ、冷めたようにそう言った。
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ルナストーン(プロフ) - …っ！？（何が言いたいか:最初から照れさせる気だったんですかぁっ！？） (2020年10月12日 0時) (
レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - ルナストーンさん» 読者の方を照れさせるつもりで書いたので良かったですー！ハハ (2020年10月12日 0時) (レス) id: 48c4c5694c (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» ぁ…因みになんですが…消しても大丈夫です。僕は…。 (2020年10月11日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» （［甘い戯れ］の後のやつの最後に向けてなのです）こちらも見ていて何故だか恥ずかしくなります。 (2020年10月11日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - 夜月さん» 見てみたいですね〜。いえいえ (2020年10月11日 22時) (レス) id: 48c4c5694c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2020年10月10日 21時
