43. 知らない表情 ページ6
私は非常に動揺していた。関わるつもりなどなかった彼と、不意打ちでばったりと出会ってしまったのだから。
京介は私を見ていた。私も京介を見ていた。彼は何を考えているのか分からない無表情でこちらを見る。私は呆然として彼を見る。
ゲームセンターの入り口で向かい合ったまま突っ立っていると、突如数人の不良が自動ドアから出てきた。私はすぐさま退けようとするが、京介は全く動じない。えっ、と声を漏らしたのも束の間、不良は京介に突っかかる。
「おい。退けよ。邪魔なんだけど」
「あぁ？」
その時、京介がどのような表情をしていたのかは知らない。背中しか見えなかった。不良の集団は京介の反応を見たきり、すぐに京介を避けて早足で路地を進んで去っていった。
「す、すご…」
感嘆の声が漏れる。ゲームでも京介が不良を萎縮させる描写はあったが、生で見れるとは思いもしなかった。
「…。なに感動してるんだよ」
「いや、凄いなぁと思って」
「はあ？」
彼は「別に、いつものことだろ」と平然と言い放ったが、少し照れていた。私はその時、ガツンと頭に衝撃を感じた。驚きが溢れる。
京介が。京介が照れてる。
あの京介が？あの剣城京介が？？
宇宙に飛び込み、浮遊しているかのような気分になった。私の知らない剣城京介。普段見せることのない素の表情。なんだあの表情は。
今の表情。
私を見た後、急に表情が柔らかくなった。まるで優一さんに向ける時の表情のように。
「どういうこった…」
衝撃に耐えられずに呻いていると、京介は変なものを見るような目を向けたが、彼はまた私に声をかけた。彼はズボンのポケットに手を入れながら、ちらりとこちらを見遣る。
「…約束、してただろ。今日」
「え！？…な、なにを…？」
そう聞き返すと、彼は眉を顰めて私を見下ろした。
「マジかよ」
「ご、ごめん。何約束してたっけ」
「……まずは俺の家、来いよ」
京介は然も当然のように自宅へ誘う。私は口をぽかんと開けたまま、ゆっくりと頷いた。
その瞬間、彼は私の手を取り、指を絡めた後、彼の手と共に自分のズボンのポケットに突っ込んだ。私は思わず小さな悲鳴が出たが、なんとかそれを呑み込んだ。
なんだ。これは一体なんだ。
これはただの友達関係ですることなのか。いや、親友的な立ち位置なのか？混乱してきた。え？どういうことだろう。
彼の紫のズボンの中で、私と京介の指が絡まっていた。
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ルナストーン(プロフ) - …っ！？（何が言いたいか:最初から照れさせる気だったんですかぁっ！？） (2020年10月12日 0時) (
レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - ルナストーンさん» 読者の方を照れさせるつもりで書いたので良かったですー！ハハ (2020年10月12日 0時) (レス) id: 48c4c5694c (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» ぁ…因みになんですが…消しても大丈夫です。僕は…。 (2020年10月11日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» （［甘い戯れ］の後のやつの最後に向けてなのです）こちらも見ていて何故だか恥ずかしくなります。 (2020年10月11日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - 夜月さん» 見てみたいですね〜。いえいえ (2020年10月11日 22時) (レス) id: 48c4c5694c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2020年10月10日 21時
