44. 約束とは ページ7
剣城という文字が印字された表札。そして見覚えのある家。私の知る彼の家だ。本来の世界線では一度訪れたことがある。
玄関で立ち尽くしていると、入らないのかと不思議そうに尋ねられた。私は急いで靴を脱ぎ、廊下に足をつける。
誘導された先は京介の部屋だった。
「え…？入っていいの？」
「？ああ」
私の知る京介は、安易に他人を自分の部屋に立ち入らせない人だった。大雨で彼の家に上がらせてもらった時も、彼の部屋に入るのは制止された。だが、今の彼は寧ろその逆だ。
この世界線に生きる私は、相当京介と仲が深いのかもしれない。そう確信した。
優一さんの言う"依存"はきっと本当なのだろう。
「…で、約束っていうのは…？」
「新しいゲーム。一緒にやるって言っただろ。もう忘れたのかよ」
部屋の中にあるテレビをつけて、彼は接続準備をした後、ゲーム機を私に手渡した。
「ゲーム…」
「…お前、なんか今日変だよな。悪いもんでも食ったか？」
「え。いや、健康なので…」
挙動不審で変な返しをしてしまった。しかし、彼は「あっそ」と言い、私の返答をさらりと流す。
.
私は考えていた。
京介の口調が違う。いつもの話し方ではない。
なんというか、仲の良い友達に話すような。いや、でも、例え彼は仲の良い友達に対しても、このような話し方はしなかった。天馬に対してだって、最後までこのような親しげな話し方はしていない。
口調が違う。京介の口調が違う。
ぐるぐると思考を重ねる。しかし、途中でパンクした。
画面に現れたのは対戦式の格闘ゲームだった。元の世界で例えるならば、スマブラである。彼は慣れた手つきでキャラクターを選び、決定した。私はもたもたしながらそれに続く。
彼はなにも言葉を発しない。ただ隣で床に座っていた。私はその真隣に位置している。
気が気ではなかった。
テレビ画面よりも、隣の存在に完全に意識を向けていた。
ごくりと唾を呑む。
なんだか、思ったより親しげな感じだぞ。
あ、ペットボトルの水飲んでる。今、机にそれを置いた。ベッドに体重かけて、だらけながらゲーム機を操作してる。
私はテレビ画面に顔を向けながら、視線は横に移り、しっかりと彼の挙動一つ一つを捉えていた。
だらける京介なんて見たことないぞ。この世界線、ヤバい。完全に私得だ。
見てしまう。どうしても、見てしまう。
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ルナストーン(プロフ) - …っ！？（何が言いたいか:最初から照れさせる気だったんですかぁっ！？） (2020年10月12日 0時) (
レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - ルナストーンさん» 読者の方を照れさせるつもりで書いたので良かったですー！ハハ (2020年10月12日 0時) (レス) id: 48c4c5694c (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» ぁ…因みになんですが…消しても大丈夫です。僕は…。 (2020年10月11日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
ルナストーン(プロフ) - 充滞さん» （［甘い戯れ］の後のやつの最後に向けてなのです）こちらも見ていて何故だか恥ずかしくなります。 (2020年10月11日 23時) (レス) id: f44ffe4945 (このIDを非表示/違反報告)
充滞(プロフ) - 夜月さん» 見てみたいですね〜。いえいえ (2020年10月11日 22時) (レス) id: 48c4c5694c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：充滞 | 作成日時：2020年10月10日 21時
