看護師の涙4 ページ27
智side
「美味しいよね。この一杯のためだけに生きてる、なんてよく言うけど、今だったらちょっと共感できる気がするなー。普段は大袈裟だって思ってるのにねー」
A「えー、やっぱりそれは大袈裟ですよー(笑)」
「そうかなー？(笑)」
嵐谷さんの言葉でいつものようにたわいもない会話が始まり、お互いお酒が進んだ。
お酒も程よくまわり、あまりにも嵐谷さんとの会話が楽しくって、僕は本題を忘れていたようだ。
そのことに気付いたときにはもう、会計をすませ店を出たあとだった。
A「本当に今日はありがとうございました！ご馳走までしてもらっちゃって。今度こそ、私がご馳走しますから！それにすごく楽しかったです。お礼におうちまで送らせてくださいね？」
お酒がまわり、ピンクに染まるほっぺたで笑う彼女はすごく自然で、心配なんか必要なかったんじゃないか、と僕に思わせた。
だから僕はその話を切り出さなかった。
でもそれは僕の思い過ごしに過ぎなかったんだ。
「嵐…谷さん…？」
嵐谷さんに車で自宅に送ってもらっている車中にその出来事は起きた。
僕が内科の看護師さん達は個性豊かだという話をし始めたとき、僅かに嵐谷さんの雰囲気が変わった気がしたんだけど、いつものように相槌をうってくれるからそのまま話を続けた。
しかし、そのすぐあとに彼女の相槌はなくなってしまった。
そして相槌の変わりに聞こえて来たのは鼻をすする音。
僕はハッとしてミラー越しに彼女を見た。
暗くてよく見えない。
でも僕にはわかった。
嵐谷さんは泣いている、と…。
なぜかわからないけど、確信めいたものがあった。
しかしそうわかったところで僕には何もできなくて、彼女の名前を呟くことしかできなかった。
元はと言えば彼女の力になろうと思って今の状況にいるのに、いざとなると戸惑うばかりの僕。
情けないよ。
A「ごめんなさいっ…。なんだろ…私、なんで泣いちゃってるんだろ」
きっと彼女は自分が泣いてる理由なんてわかってる。
でも僕に心配かけないように、強がってるんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 244人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Rui(プロフ) - すーたんさん» コメントありがとうございます！一気に読まれたということで、おつかれ様でした（笑）そしてありがとうございます！それにずっと応援してもらえるなんて感激！これからも頑張ります(^-^)/ (2013年11月18日 22時) (
レス) id: 15880654f1 (このIDを非表示/違反報告)
すーたん(プロフ) - 初めまして！！今日このお話を見つけて一気読みしました！！ずっと応援しています。頑張ってください！！ (2013年11月18日 21時) (レス) id: ddb6fe2898 (このIDを非表示/違反報告)
Rui(プロフ) - ジャスミンさん» それならよかったです！安心しました(￣^￣)ゞ今後もよろしくお願いします！ (2013年10月23日 17時) (レス) id: 15880654f1 (このIDを非表示/違反報告)
ジャスミン - いえいえ大丈夫です。ご安心を。 (2013年10月23日 17時) (レス) id: fce6279bd2 (このIDを非表示/違反報告)
Rui(プロフ) - ジャスミンさん» コメントありがとうございます！ナースのお仕事、再放送を何度か見たことがあります！意識していなかったのですが、似通ってしまっていますでしょうか(^^;;？それならすみません。今のところ恋愛関係になる予定はありませんが、今後もしかしたら…（笑） (2013年10月23日 17時) (レス) id: 15880654f1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2013年8月21日 3時
