そんな彼に溺れる【短編集】【d!】 (ページ7)

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ピアスとギャップと (ht) ページ7

私には、もったいないと思えるほどの彼氏がいる。

清楚で比較的おだやかな性格をしていて
誰でにでも優しく、けれどそこが少しもどかしくも感じる時がある。

そんな私の彼氏が

_______________見えないところにピアスをしていた。

俗に言う舌ピというやつである。

彼は、おおっぴろに歯を見せて笑うことさえあまり無ければ
そもそもマスクを外すことさえあまりない。

だから、今まで舌ピをつけていても
バレることなんてことはなかったのだろう。

彼女の私でさえ、気づいたのはつい最近だ。

その気付いてしまった時はご飯を一緒に食べている時だ。

彼はずっとマスクをつけているが
やはり食べている時とかなど、とる時はある。

その時たまたま見えてしまった。

私も初めはなにかの見間違いだと思い、
しばらく眺めていたのだが、見間違いでは無いことに気付き
すごく驚いたのが記憶に新しい。

しかもそのピアスの色は、私の好きな色だったりするのだから
もう私の胸は色んな意味で張り裂けそうなのである。

「どうかした？」

『ぁ、いやなんでもない』

首を僅かに降るとそっかと言葉をこぼし
視線を元に戻した。

私はホッと息をついてあまり視線が行かないように注意を払う。

……ようにしたが、どうしてもマスクで隠れている口元を見てしまう。

というか、舌ピて些かセンシティブでは無いか？

ピアス付けてるの？と聞いた方がいいんだろうか……。

……私はどうすればいいんだろうか。

私がどうすればいいのか混乱してきた時
急に彼が動き出し、かと思えば私のすぐ隣に座った。

何が何だか分からず困惑し、見すぎて引かれたのか
と、よからぬ事を考えているとマスクを外し下につけてるピアスが目に入った。

キスをされた。

とても長く感じるキスだった。

そして僅かに彼のピアスが唇にあたった。

え、と思い、彼の顔を見ると
目を僅かに細め、微笑んでいた。

マスクをし直して、目だけしかわからなかったが
どんな顔をしてるかなんてすぐに分かった。

確信犯だと気づくのはそう遅くはなかった。

_______________

普段そういうのがない人が見えないとこでやってたら素敵だなと。