初夏、体育祭です。 ページ15
「宣誓！ 僕達はー！」
私立らしく貸し切ったアリーナで、体育祭が始まる。
宣誓役である岩泉くんの声が響く。
絢ちゃんもスンッとした顔をしながら、しっかり彼を見ている。何、無意識に気になってるんじゃない？
クラス対抗のリレーと、全校で「アオ」組と「ハル」組のふたつに分かれて行う競技がある。
ちなみに、アオは1から3年の奇数のクラスが入っている。ハルは偶数の組。私達は６組だから、ハルってことになるんだ。
「最初の騎馬戦って、アオハル対抗でしたっけ」
「おん。学年ごとにやるっぽい」
うちの学校、球技大会がないのね。大学受験を理由に球技大会は欠席する３年が多かったそうで、体育祭はせめていっぱいやろう！ ってなったらしい。だからバスケやバレーがあるってわけ。
「及川くんは、バレーとリレーでしたよね」
「ああ、そうだよー。よく覚えてたねさすが」
直ですごいストレートに褒められると、こう、胸がほわってなる。恥ずかしいけど。
騎馬戦で、盛り上がりは最初っから最高潮。
女子大将だった剣道部の奈々ちゃんが鬼気迫ってて、私たち側のはずなのに怖くなっちゃった。
ハル組の勝利！
「岩泉、次バスケやろ？ いってらー」
「おう」
「応援よろしくな☆」
「クソ川しねや。声真似すんな」
ねぇ絢ちゃん、笑わないの。
アナウンスのあと、試合開始。岩泉くんたちのチームは最初で、ハル観客席からは応援が飛ぶ。
「絢ちゃん」
「っは、……あぁもう……」
私の期待がこもった瞳に耐えきれなくなったらしい。絢ちゃんは叫ぶ。
「いわいずみぃぃ！ がんばれよっ！」
え待って、岩泉くん顔赤くした。なんなの。私のセンサー精度めっちゃいいんですけどーー！
「及川くん……、」
こくり。及川くんはうなずく。
えぇぇぇぇ待って待って私岩泉くんのこと全く慮ってなかったっていうか気づいてなかったー！
「青春だ……」
「うるさい、A。黙ってろ」
照れ性というか、100％のツンデレと言うか。
そして試合は始まった。
「えっ待って岩ちゃんカッコいい……」
「浮気しないで下さーい」
「すみませーん」
くすくす笑い合う私と及川くんを、絢ちゃんがジト目で見てくる。
バスケ全体の結果はアオ組の勝利だけど、岩泉くんのところは勝っていた。すごい。
いよいよ、私以外の3人が出るバレー。
「いってらっしゃーい！ かんばって！」
「はーい！」
「おう」
「見ててやー！」
やば。すごい楽しみ！
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作者名：めい | 作成日時：2024年1月23日 19時
