入院 〜Jiyong〜 ページ32
「ヨンベ。」
「ん？」
ヨンベが振り向くと、自分のスマホを差し出した。
「さっき呼ばれたの、この事？」
ヨンベが一瞬驚いた顔をし、息を吐き俺の方を向いた。
「うん。そう。」
「あっそ。」
スマホを座席に放り投げ、イヤホンのボリュームを上げストールを顔に巻きつけた。
何も聞きたくない。
誰も見るな。
何も考えたくない。
誰も話しかけるな。
でも無情にも頭の中ではさっきの記事と写真が鮮明にあって…
イベントって先週だろ？
先週の事…なんだ…
つい最近じゃん。
食事をしてる写真。
当たり前…なんだろーけど、もちろんネックレスはなかった。
好きな女が他の奴と食事してて、笑顔で…
そして抱きしめられていて…
車が事務所に着くと真っ先にトイレに駆け込み、
全てを吐き出した。
「なんでなんだよっっ！！！」
どんなに壁を殴っても溢れ出す気持ち。
音や声に気づいてヨンベやマネヒョンが駆けつけるけど、暴れまくって叫びまくって、もう身体と心がバラバラで自分でも何してんだかわからない…
……………
ここって……
目を開けたら光が飛び込んできて、眩しくて目を細めた。
もう一度ゆっくり目を開けると、白い天井が目に入ってきた。
「ジヨン…」
その天井を遮るように、ヨンベの顔が俺を覗き込んでいる。
「俺…ここって…」
「病院だよ。倒れちゃってさ…今、先生呼ぶね。」
すぐに白衣を来た人が入ってき、聴診器あてられたり、質問されたりし出て行った。
右手には包帯。
左腕には点滴。
「ジヨンさ…」
ヨンべがあのトイレでの後のことを話してくれた。
叫びながらトイレのドアを殴り、血まで出てんのに殴るのをやめず、なんとかマネヒョン達で暴れるのを抑えたら今度は気を失って倒れたと…
「ごめん…」
「謝るなら僕じゃなくマネヒョンに言ってあげて。今荷物取りに行ってるから…」
「荷物？」
「とりあえず落ち着くまで入院だって。その点滴、吐き気止めが入ってて、こっち連れてきてからも気を失ってんのに吐き続けてたんだよ？」
「今って…」
「夜の10時。」
「ヨンベ！彼女っ！！」
「今はジヨンのが大切。」
彼女って言葉を口に出して、涙が一気に溢れた。
俺にだって彼女……
ヨンべが察して、トイレに行ってくるって言って、
タオルを枕元に置いて出て行ってくれた。
ドアが閉まる音が聞こえた瞬間。
嗚咽とともに止まる事のない涙が溢れ、思いっきり泣いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 549人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
r08194(プロフ) - ぃぇ！また時間があるとき投稿してください！笑 (2016年3月12日 16時) (
レス) id: 9cedcfc370 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - リンナさん» こんにちは(^ ^)いつもコメントありがとうございます(^ ^)喜んでいただけて嬉しいです(^ ^) (2016年2月25日 16時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
リンナ - ありがとぅございます！面白くてずっと読んでます！☆ (2016年2月23日 16時) (レス) id: 9cedcfc370 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - リンナさん» リンナさん☆こちらにもコメして頂いたのに、お返事が遅くなりすみません。"シリーズ最初の作品へ"や"作品のシリーズ"を押してもらうとすぐ検索できると思います(^ ^) (2016年1月20日 19時) (レス) id: b9b3e3aa96 (このIDを非表示/違反報告)
リンナ - これは、〜1〜からあるんですか？ (2016年1月20日 15時) (レス) id: 9cedcfc370 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：がほ
| 作成日時：2015年12月29日 0時
