通訳ヌナと…【Taehyung：2】

ユンギ -You- ページ8

「急に悪かったな。遅くまで」

「全然」

退勤しようと思ってたら、
ユンギから内線があって。

英語の歌詞のことで聞きたいことがあるから…と、
２時間ほど作業に付き合ってた。

最初、自分達の歌詞なのかと思ってたけど、
どうやら今作業してるのは今度フューチャリングをする曲らしく、ポロッとユンギが口にしたアーティストの名前…聞いた瞬間、呼吸が止まった。

すごいな…本当。

ユンギだけじゃなく、
テヒョンだけじゃなく、
この７人、各々みんな本当にすごい。

こういうことで、
もう何度も何度も感じたけど、
念押しされるようにまた思う…

みんながもう、
すごくすごく遠い所にいるような感じを。


「お前今忙しいんだろ？」

「え？」

「オーディションだのサバイバルだの、なんだかんだに関わってるって聞いたけど？」

「ユンギ達の忙しさに比べたら…私なんて全然だよ」

「嘘つけ。今日お前に会うって言ったら、テヒョンがズルいズルい、すっげぇうるさかったんだけど？」

「だって…忙しい時はいつもより休まないと、無理したら蕁麻疹すごく酷くなるのに」

無理しすぎると、
いつものお薬を飲んでても効かなくなるテヒョン。

更に強いお薬を使わなきゃいけなくなると、
眠気や怠さの副作用が出ちゃうのに…

なのにいつも通り“会おう”って言ってくれたり、
遅い時間でも電話やカトクをくれたり…

「なるほどね」

片付けを終え、
机に腰掛けたユンギ。

髪はセットしてなく、
もちろんメイクなんかしてなくて。

ゆるっとしたTシャツとラインパンツ。

どこにでもいそうな、
でもすごい才能を持ってるユンギと私は同い年。

けどユンギは私より落ち着いてて、
人生経験も豊富だし、
同じだけ生きてるはずなのに、
すでに世の中を悟ってるようなそんな感じがする。

静かというか、
語らないというか、
こうやって一緒に作業に付き合ってても、
必要外はどっぷり自分の中に籠るユンギ。

けど冷たいとか怖いとかは思わなくて、
ユンギが出す独特の空気感が実は結構好きで。


「あいつは子供だからな…特にお前の前では」

見ながらそう言われたけど、
何のことか…さっぱりわからなくて。

「何の話？」

「こっちの話」

「何それ」

「お前さ」

「うん？」

「お前…テヒョンに遠慮してる部分まだあるだろ？」

「あいつは良くも悪くもお前に一切遠慮してないと思うけど、お前はそうじゃないだろ？」

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