通訳ヌナと…【Jungkook：6】

後悔 -Jungkook- ページ3

なんだろう…

ムッとしていた顔や気持ちが、
一瞬にして緩む感じ。


ヌナからの返信が予想外すぎて、
会えないって投げやりに言ったけど、
まぁ食事といっても仕事みたいなものだし、
ただ“わかった”って返信が来ると思ってたから。

なのに。

会えないって言ったのに。

顔だけでもいいから…って言うヌナが、
意外で、正直死ぬほど嬉しくて、可愛くて。

けど、

《いつ帰れるかわからないし、ヌナを待たせるのも悪いし、僕も今夜は疲れてるから》

明日もライブはあるし、
そこまで遅くはならないと思う。

だから正直、
長くは無理だけど少しなら会えるはず。

顔だけでも…と言うヌナと、
本当はすごく会いたい僕。

きっとヌナなら待っててくれると思うんだけど。

待たせるのは申し訳ないとは思うけど、
疲れはヌナに会うことに関してなら関係ない。

だから、
なら…と言えばいいだけのことなんだけど。

言えなかった…ううん、言わなかった。

だって。

さっきみたいにヌナにもっと言って欲しいから。

でも…と、
さっきみたいにヌナに求められたいから。

だからそう返信したんだけど、
スムーズだったやりとりがいきなり止まってしまい、

〈わかった〉
〈ホテルに帰ったらゆっくり休んでね〉

少しして返ってきた返信は、
僕が求めるものじゃなくて…

え…、と思ったけど、

〈でも明日はグクに会いたいな〉
〈もちろん体調とか他の予定が優先だけど、会えるといいな〉

…と、
ヌナからまたメッセージが来て。



「今夜会うんだろ？」

突然聞こえたユンギヒョンの声。
ハッと我に返り、ヒョンを見た。

「会いません」

「は？なんで？」

なんで…なんでって…
それは…僕が会えないって言ったからで…

「だって…いつ帰れるかわからないし」

「待ってるだろ、あいつなら」

「待たせるのは…悪いし…」

「…あっそ」

溜め息を吐き、
まるで一瞬で全てを悟ったようなヒョン。

上がったり下がったり。

緩んだり、喜んだり、
悲しくなったり、後悔したり。

気持ちが忙しい。



でも確実なのは、
今夜会える機会を僕が放棄したこと。
僕が拒否したこと。
僕がそうしてしまったこと。

なのに…
今は後悔の念でいっぱいで、
身体中それでいっぱいで、
苦しい。


僕に会いたがってくれてるヌナ。
変なことせず、
僕も…だから待っててって言えば良かったのに。

「後悔すんなら初めから変なことすんな」

ヒョンの言葉が胸に刺さり、
何も言い返せない。

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