通訳ヌナと…【Jungkook：6】

カトク -You- ページ1

結局グクが控え室に来ることはなく、
リハーサルが始まると、
他のメンバーとは違う方向からやって来た。

見た瞬間、
グクだ！と大きく心臓が跳ね、
嬉しくて、ドキドキして、
でも同時にさっきのユンギさんとテヒョンくんとの会話を思い出し、
ちょっと苦しくなったりもして…

リハーサル中。

偶然なのか故意なのか、
グクと関わる機会は一切なかった。

故意なのかな？と思ったり、
避けるように遠くにいるのかな？と思ったのは、
きっとさっきの会話のせいなんだろうけど…

でも本当にそうで。

常に遠くにいる。

何か聞きたそうなことがあっても、
絶対に私の方には来ず、
離れるよう、
もっと遠くにいる通訳さんの元へと行ってしまう。

もちろん目も合わない。

やだ…
何考えてるんだろ、私。

今は仕事中なのに。


そしてリハーサルが終わった。

終わってライブが始まった。

そしてライブが終わり、
ホテルに帰る準備をしていたら、
グクからカトクが来た。


《日本のスポンサーの方達と食事に行くことになりました》
《だから今夜は会えなくなりました》

メッセージを見た瞬間、
胸がズキッと痛く、
平静を装わなきゃいけないのに、
苦しくてできなかった。

会う約束はしてなかったけど、
暗黙の了解みたいな…

今までと同じで、
今夜はこそは…やっと…って、
怖いながらも楽しみにしてたのに。

仕事が入ったのなら仕方ないし、
お食事に行くのも仕方ない。

そこはなんとも思わないんだけど、
やだな…

心が狭くなってるんだ、きっと。

グクの言葉を勝手に重く捉え、
なんだか…
突き放されてるように感じてしまって。


〈遅くなるのかな？〉
〈顔だけでもいいから、見れたら…いいな〉


けど私ももう限界で、
会いたい気持ちはもちろんだけど、
グクとこの状態のままでいるのが嫌で、
顔が見たくて、話をしたくて、
早く前のように戻りたくて。

遅くなっても起きてるから、
１分でもいいから、
このままじゃなく、
今日が終わる前に会いたくて返信をしたけど…


《いつ帰れるかわからないし、ヌナを待たせるのも悪いし、僕も今夜は疲れてるので》


スマホを持ったまま走り込んだお手洗い。

グクのそのメッセージを見た瞬間、
涙が溢れた。

待たせるのが悪いから…じゃなく、
疲れてるから…じゃなく、
ううん、疲れてはいるんだろうけど、
きっと何よりも…

会うつもりがないんだろうね、グクは。

どうしてこうなっちゃったのかな？

カトク -Jungkook-→

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す