通訳ヌナと…【Jungkook：6】

戸惑う -You- ページ6

リハーサルの最中、
突然グクの方から話しかけてくれて、
顔が緩みそうになるのを必死で我慢してたんだけど…

どうしたの？って、
我が耳を疑いそうなグクの言葉に、
周りの様子を伺わずにはいれなくて。

幸い周りには人はいなく、
声の大きさからも聞こえてない…と思うから、
態度で変に思われないようグクと話したんだけど…


ならいいです


吐き捨てるような言い方で、
そのままくるっと背を向けて行ってしまったんだけど…

引き止めるわけにもいかず、
残ったモヤモヤや不安感…

何がいけなかったのかな…

つい、今のことを考えてしまうけど、
今はそれを考えていたらダメだから。

必死に今のことに蓋を閉め、鍵をかけ、
資料に目を戻し…仕事を続けた……んだけど。


朝からあいにくのお天気。

小雨とはいえ、
降ったりやんだりの中、
みんなが心配していたことが起きてしまった。

ダンサーの方が１人、
ステージで踊っている時に足を滑らせてしまい、
支えがないと立ち上がれない状態になってしまって。

すぐに身体のケアをするトレーナーの方が
駆け付けて下さり、
痛みがある足首の状態を見て下さったんだけど…

捻挫か、
でも腫れもあるから骨に異常があるかもしれない。

本人はそれでも大丈夫だと言い、
ステージに立つことを希望したんだけど。

立つにしてもなんにしても、
とりあえず今すぐ病院に行こうってことになり、
それで…

ステージの下から見守っていた私だけど、
スタッフの方に呼ばれ、ステージの上に上がった。

そして、
怪我をしたのは韓国人ダンサーの方だから、
日本の病院に行くのに、
私も通訳として今から同行して欲しいと頼まれた。

「…っ、！」

はい、わかりました…と、言おうと思った瞬間、
周りの人を掻き分けるようにグクが現れて、

「大丈夫ですか？」

ダンサーの方に話しかけた。

「あ、はい。大丈夫です。すみません」

「今から病院に行くんですか？」

「本人は大丈夫って言ってるけど、骨が折れてても怖いし、だから…とりあえずゼヒョンの所には誰か入って、リハーサルは続けよう」

そう答えたトレーナーの方。

「で、Aヌナが通訳で抜けるんですか？」

「うん。病院に同行してもらおうと思って」

「それって…Aヌナ以外じゃダメなんですか？」

ちょ…っ！
グク！

みんなの会話に入ることなく、
ただ聞き手に回っていたんだけど。

グク？

どうしたの？

なんでそんなこと言うの！？

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