通訳ヌナと…【Jungkook：4】

６月 -Jungkook- ページ33

「で？」

「で？」

「もう３ヶ月経つんだけど」

「３ヶ月…あ、ヌナのことですか？」

「それ以外に何があんだよ」

「ヒョンは主語がないから」

「で？」

「ないですよ」

「……」

「変わりないです」


６月。
パリ公演２日目が終わり、
メンバーやスタッフ全員で打ち上げに行った店で、
ユンギヒョンがまたヌナのことを聞いてきた。

普段からヌナのことを聞いてくる他のヒョン達とは違い、ユンギヒョンは滅多にヌナのことを聞いてこない。

聞いてきたとしても今日や前回みたいに、
どうなったんだ？ってことしか聞いてこない。

だから。

心配してくれてるのかな？って、
ちょっと嬉しくなったんだけど。

ヒョンの次の言葉に、
サーッと体温が下がるのがわかり、
頭が真っ白になった。



「Aはさ…いまだにお前が勘違いしてると思って、気づくその日を…待ってる」


え？

どういう意味？

勘違いって…
まだそう思ってるって…

気づくその日？
待ってるってどういうこと？


「お前さ…自分の気持ちを認めて、だから好きな相手と話したり、やりとりしたり、それがすげぇ楽しい気持ちは俺もわかる。けど、なんつぅか…お互い気がある者同士なら、そうやって楽しい話とか、聞きたいこと聞いてれば、お互いに気持ちも高まって付き合うってことにもなるんだろうけどさ…」

なるんだろうけど？

「とりあえず今は、お前の一方通行な想いだけじゃん。しかもAはそれを勘違いだって最初っから思ってんだろ？ならさ…楽しい話すんのもいいけど、勘違いじゃないってことをわかってもらう努力…みたいなものも必要なんじゃねぇの？」

勘違いじゃないってことをわかってもらう努力？

「３月末までだった契約をAが更新した…ってことも、それはこれからもずっと一緒だっていう確定的なことじゃなく、いつまたいなくなるかわからねぇ、みたいな危機感、持ってねぇんだろ？」

危機感…
そんなの…なかった。

契約を更新したって聞いて、
半年間更新したって聞いて、
ただ嬉しく…嬉しくて…それだけで。


「お前と電話したりカトクしたり、Aも楽しいと思うけど、楽しいは楽しいけど、お前の気持ちは３月のあの日から変わらず、まだ信じられずにいるから…俺が聞いた時、そう言ったんだと思う」


周りに人がいるから必死で泣くのを我慢し、
気持ちを抑えていたけど。

どうしようどうしようって…

頭がパニックだった。

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