通訳ヌナと…【Jungkook：4】

怖い -You- ページ30

《おはようございます》
《今から事務所に行きます》

《おはようございます》
《ってもうお昼ですけど》

朝、たまにお昼だけど、
必ずジョングクくんからカトクが届く。

そして、

《今日はお昼何食べましたか？》

《さっき事務室の前を通ったけど、ヌナはいませんでした》
《残念です》

と、
日中もたまに届く。

《ダンス練習が終わり、今から自分の作業室に籠ります》
《ヌナは温かくして寝て下さいね》
《おやすみなさい》

《友達と飲みに行ってきます》
《男だけです》
《遅くなるから今言っておきます》
《ヌナ、おやすみなさい》

夜も夜で、
必ずカトクは届く。

プラス。

《今日は何時に仕事終わりますか？》

《もう家にいますか？》

など聞かれ、
長時間ではないけど、
電話をする日もある。

会話の内容は主にメンバーの話。

今日はこんな面白い事があった。
こないだはこんな事があったんだよ、って、
練習室や宿舎での話をしてくれる。

ジョングクくんの話をしてから、

「ヌナは今日どんな仕事をしたんですか？」

と、私に聞いてきてくれるのだけど。

そこは意識してるのかどうなのかはわからないけど、
いきなり聞かれるよりは、
雰囲気が少しでも和んでからの方が
私には話しやすくてありがたい。

だって。

正直、
電話はすっごく緊張するし。

顔が見れないのはありがたいけど、
耳が…
スマホを当ててる耳がくすぐったくてたまらない。


本当の顔。
練習生の頃の顔。
仮面。
本来のジョングクくんの姿。
ジョングクくんらしい姿。

セジンさんやユンギさんの言葉。

私にはわかるようでわからないけど、
一つ言えるのは…

香港で会って、
ここで働くようになって、
事務室の、あの日までのジョングクくんと、
あの日からのジョングクくんは違う。

刺すような視線や、
刺々しい言い方とか。

なんて言うか…
尖ってたものが全部なくなって、
笑顔も言葉も、
丸く柔らかくなった感じ。

それはまさに、
私が知っているあの頃の、
練習生の頃のジョングクくんの姿に似てて。


けどやっぱり、
私にはジョングクくんの勘違いとしか思えない。

明日になれば。
明後日になれば。
勘違いに気づいて、
やっぱり勘違いだったと言われ、
くしゃっとした笑顔を向けて笑ってくれることも、
ヌナ、と、
明るいトーンで呼んでくれることも、
一瞬でなくなっちゃうんじゃないか、って。

それがなぜか怖くてたまらない。

そして怖いからこそ、
構えてそれを待っている私がいる。

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