通訳ヌナと…【Jungkook：3】

逃がさない -Jungkook- ページ25

なんとも思ってないと言っておきながら。

なんとも思ってなくないのは、
きっと誰が見ても、
僕が僕を見てもわかる。

セジンヒョンにガーッと思いをぶちまけて、
その後、落ち着いて振り返ってみたら、
人事に対してあーだこーだと僕が口を挟むべきことじゃないのに、
それをしてるからセジンヒョンは言ってくるわけで、
別にヌナだからとかは関係なく、
他の人だとしても同じこと言われるのわかってるのに…

恋愛のことまで例えに出して、
一人で興奮して、
勘違いして、
勝手に何言ってんだろ…


そう気づいたのなら、
その時点でもうやめればいいのに。

それが出来ないから、
最近もう…毎日が苦しい。

そう思っていたら、
開いた事務所のドア。

警備員の人に続き、
中に入ってきたのは…


「こんにちは」

「…っ！」

「あ、こんにちは」

「セジンヒョンのお客さんですよね？」

「そうです。16時から面会の、」

「知り合いなんです、僕、彼女と。なので僕が彼女をヒョンの所に案内します」

「え？そう…なんですか？」

「ですよね？Aさん」

「え、あ、はい！」


この前と同じ。
驚いて、目を丸くしてるヌナ。

この前と違い、
後ろで一つにまとめられた髪の毛。
顔のラインがよりはっきりと見えて。

白いタートルネックにネイビーのスーツ。

手に持つコートと、
タイツと、靴は僕の好きな黒で。

この前と違う姿に、
目を離さなきゃいけないのにできなくて、
上から下まで…
ヌナから目が離せなかった。


「いいんですか？お願いしても。何か他の用事があるんじゃ…」

「ないです。ヒョンの部屋にお連れすればいいんですよね？」

「はい」

「なら、Aさん、こっちです」

「や、私…あの…っ、失礼します」

慌てるも、
警備員の人がヌナを見ながら僕の方に手を差し出したから。

諦めたのか、
警備員の人にお辞儀をし、
僕の方に歩き出したヌナ。

そのまま何も言わずエレベーターの前まで歩き、
ボタンを押してエレベーターが来るのを待った。

エレベーターのドアに映るヌナの姿。
表情までは読み取れないけど、
下を向き、
僕から少し離れて立っている。


本当に…ヌナなのかな？

いきなり僕の前から消えて、
一瞬にして僕の世界からいなくなった
本当にあのヌナなのかな？

今、
後ろを向いて手を伸ばせば掴まえることができる。



もう…絶対に。

僕の前から消えささない。

逃げることなんか許さない。

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