通訳ヌナと…【Jungkook】

霧雨 -Jungkook- ページ33

釜山から帰ると
練習よりも先に社長から話があり、
僕達のデビューが来年6月に決まった、
と言われた。

やった！と声に出して喜ぶより、
休みボケというか…信じられないというか…
とにかく僕は放心状態だった。

6月…まだあと…8ヶ月ある。

と、ぼんやり思ったのも束の間。
今後の予定を聞いて頭が真っ白になった。

デビューアルバムに収録される曲を選んだり、
練習したり、レコーディングしたり…

タイトル曲の振り付けを覚えたり、
MV撮影があったり…

公式Twitterが開設されるらしく、
毎月そこにメンバーをアップしていくらしいし。

今までになかった動き。
突然新たなことが動き出して、
待ちに待ったデビューだけど、
いざ決まって動き出すとなると…

上手く言えないけど、
嬉しさよりも、怖さの方が勝ってる僕がいて…


そんな不安を拭い去るように、
今までよりも練習に打ち込んでいたある日。

最近、日課になってるジョギング。
特別な所に行ってするのではなく、
練習室の周辺を何周かするもの。

けど今日はちょっと時間があったから、
いつもより遠く…
Aさんと行った公園に行って、
中だったり外周だったり、
そこを走ろうと思って向かった。

Aさんとは…
あの釜山に行く日に会ったっきり。

食堂に行っても会うことはなく、
テヒョニヒョンだったかな？
食堂のおばさんに聞いた時があって、
その時、今は修学能力試験があるから
平日はバイトを休んでて、
土日のお昼の時間のみ働いてるのだと言っていたのを聞いた。

11月に試験があるって言ってたから…
あと2週間後くらいなのかな？

大変だろうな…

デビューが決まったこと…
もしかしたら誰かから聞いたかもしれないけど、
まだ自分の口からは言えてなくて…

言いたい…けど、
今はそれ以上に試験のことでいっぱいだろうし…

と、思いながら走っていたら公園に着いた。


けど。


公園の敷地内に足を踏み入れた瞬間、
空から霧雨が降ってきた。

パラパラでもないし、
ポツポツでもない。

細かすぎる雨。

今日って雨降るんだ…
天気予報なんか見ないから知らなかった。

帰った方がいい？
でもこれくらいなら傘必要ないし…

と、迷いながら走ってたら…

ピタッと足が止まった。
止まった瞬間、息が上がり、
汗がぶわっと噴き出してきた。

呼吸を整えながら見つめる先。

シルバーの星が光る黒い傘。
赤いチェックのスカート。

手のひらを空に向けるAさんが、
突然僕の目の前に現れた。

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