通訳ヌナと…【Jungkook】

公園 -Jungkook- ページ19

28日。
思った以上に長くなったミーティング。

焦る気持ちは隠し、
終わるや否や、
事務所の人やヒョン達に挨拶をし、
急いで公園へと向かった。

練習室を出る時に見た時点で時刻は18時。
約束の時間。

ヒョン達が近くにいる手前、
携帯に触ることはできなかったし、
ここで止まってAさんの携帯に連絡するより、走った方が早いんじゃないか…って…

肩に掛けたスポーツバックを揺らしながら
必死に走った。


そして…


「香織さん！ごめんなさい！遅くなりました！」

「いいのに…ゆっくりで。お疲れ様、グクくん」

最初どこにいるかわからなくて、
公園内の道に沿って走りながら探してたけど…

子供が遊ぶ遊具がある所。
そこにあるベンチに座る、
制服姿のAさんを見つけた。

けど…
あれ…
なんか…

息を整えながらAさんを見るも、
笑ってるんだけど、なんか…

元気なさそうに見えて…

僕が待たせたから待ちくたびれたのか…
それとも、
連絡先知ってたのに連絡もせずに遅れたからか…

「本当に…遅くなってすみませんでした」

と、もう一度謝ると、

「ちょ…本当に何も思ってないってば。ここ座って！ほら、鞄も置いて！」

そう言って、
座っていたベンチの隣を手でバンバンと叩いた。


鞄は地面に置き、
少し離れてAさんの隣に座った。

止まったことで、急に噴き出してきた汗。
鞄からタオルを出して拭いていると…

「すごく急いで来たんだね。すごい汗…あ、飲み物は？ある？」

あ…そうだ…飲み物！

今朝まで散々、
こういう場合は何か持って行った方がいいのかな？
でも公園だし…
せめて飲み物とか？
けどAさんって何が好きなんだろう？

この前サイダーくれたから、
甘い炭酸なら好き？

コンビニでいいかな？
…というか、
バイトもまだできないし、
親から貰う小遣い。

高校生のAさんは、
スターバックスとか…
そういう所の方がいいのかもしれないけど、
お金が…
そもそも一人でそういう所、
入ったことないし…


って、いろいろ考えてたのに！
すっかり忘れてた！


「あの、何か買ってきます！Aさんは何がいいですか？」

スッと勢いよくその場に立つと、
僕を見上げたAさんがクスッと笑った。

「ありがとう。でも大丈夫。グクくんも、お水でよかったらあるよ？」

渡された水のペットボトル。
水滴が付いて…冷たくて…

サイダーの時と同じ…

すごく大切な宝物のように、
しっかりと両手で受け取った。

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