サイダー -Jungkook- ページ8
「ごめんね、急に話しかけて。急いでる?」
「え…あ…いえ…」
「あの…昨日、おばちゃんから聞いたんだけど、アメリカに行くって…」
「あ、はい。明日から行きます」
「明日!?本当に!?え…いつまで?」
「8月末までです。学校の夏休みの間だけ…です」
「1ヶ月も?ダンスを習いに行くって聞いたんだけど、アメリカのそういったダンス教室に通うってこと…だよね?」
「はい」
「いいな…」
「あ…アメリカがですか?それともダンス?」
「アメリカに行けること。私はみんなみたいにダンスなんて踊れないし、歌も下手だもん」
「なんでアメリカに行きたいんですか?」
「私ね…」
目も合わせたことなかったのに。
話したこともなかったのに。
Aさんからの質問に答え、
Aさんに質問をする自分に驚く。
でも普通に話してるつもりでも、
心臓はバクバクと大きく鳴ってて、
暑いからだけじゃなく、汗もハンパない。
私ね…と言って、
話し始めたAさん。
聞いてるのか、
魅入っているのか。
暑さのせいなのか、
なんなのか…
クラクラする身体を
足に力を入れ必死に支えながら、
Aさんの話を聞いた。
名前と、年齢と、バイト先と。
英語が得意なことと、頭がいいこと。
それだけしか知らなかったけど、
今日僕は、また新しいことを知れた。
アメリカに行きたいという理由…
Aさんは英語がとても好きで、
大学も英語学科入学を目指し頑張ってること。
将来はその英語にまつわる仕事、
通訳や翻訳の仕事をしたいと思ってること。
だから生の英語を聞いたり、
生活や雰囲気がわかるアメリカに行ける僕が本当に羨ましいのだと…そう言った。
「昨日、帰る前におばちゃんから聞いて、それからずっといいな…って思ってたの。そしたら今、目の前にジョングクくんがいるんだもん。話しかけちゃった」
ニコッと笑うAさん。
つられて僕も笑ったけど…
ぎこちない笑顔だってこと、
バレないかな?
緊張して上手く笑えない…
「ねぇ。アメリカから帰って来たら、アメリカでのこと…いろいろ教えてくれない?」
「ど、どんなことを…ですか?」
「どんなって…雰囲気とか、韓国との違いとか、ジョングクくんが思ったこと」
僕が思ったこと…?
そんなの…Aさんを前に、
上手く話すことなんかできるかな?
簡単に“うん”と言えずに黙ってると、
「約束だからね」
そう言って渡された
泡がキラキラと光るサイダーのペットボトル。
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がほ(プロフ) - レイコさん» なんてことでしょう!そんなにも!ありがた過ぎて、本当に感動してます(T_T)私もたまに読み返すんですが、その度、誤字に気づくことがあって電話お恥ずかしいです(T_T)これからも読み返してもらえるようなお話を頑張って書きますね^ ^ (2021年10月24日 21時) (レス) id: ae37c6ad61 (このIDを非表示/違反報告)
レイコ(プロフ) - 何度も読み返す最高の作品!多分これで10回めぐらいです (2021年10月24日 19時) (レス) id: 910148a662 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - Norada0417さん» こんにちは!お返事が遅くなり大変申し訳ありません!never not!そうなんです!一部歌詞を引用させて頂きました。それに気づいて下さって、こうしてコメ下さったこと、とても嬉しいです。こちらこそ、読んで頂き、本当にありがとうございました。 (2021年6月3日 9時) (レス) id: ae37c6ad61 (このIDを非表示/違反報告)
Norada0417(プロフ) - 色々読んできましたがこの作品が私の中で圧倒的に1位です。ジョングクもたまにカバーしてたLauvのnever not の歌詞がなんだかこのお話にぴったりで曲を聞いてくるとこの話の2人が頭に出てきてなんだか泣きそうになります。素敵なお話をありがとうございました。 (2021年5月13日 21時) (レス) id: 0b2e88b270 (このIDを非表示/違反報告)
がほ(プロフ) - kaさん» こんにちは^ ^コメありがとうございます!『一言だけお伝え…』と読んだ時、何を言われるのかとドキドキしてしまいました!でもとっても嬉しいお言葉^ ^本当にありがとうございます!またグクでお話も書くので、良かったら読んで下さいね! (2020年9月28日 19時) (レス) id: c74390b1f3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:がほ | 作成日時:2019年6月15日 20時