通訳ヌナと… 【Yoongi：3】

世界 -You- ページ8

「あ…はい。わかりました」

お話がしたいから、
ユンギさんに通訳をしてほしいと言われて。

一瞬で心拍数が上がり、
ドキドキと…鼓動が速くなった。

ユンギさんに通訳…

近づくってこと。
話すってこと。

もちろんこれもお仕事の一つ。
相手は女性のモデルの方だし、
私とではなく、
彼女がユンギさんとお話がしたいの…

だから…

大丈夫だよね？

ユンギさんに言われた言葉。
それが頭の中に浮かんで…

こうやって、
大丈夫だよね？って確認しないと…

しても…

また迷惑がられたらどうしよう…
また嫌な顔されたらどうしよう…

って気持ちが消えなくて。

お仕事だし、
マネージャーさんもみんないるし、
心でそう思ったとしても、
さすがに外には出さないだろうって思うんだけど…


それと…
そういう気持ちもあるんだけど…


「良かった！私…実はプレゼント持ってきたんです。それを渡したくて」

そう言って、
鞄の中から出した黒い箱。

「SAINT LAURENTのシャツなんですけど…この前ショーに行った時に見て、SUGAさんに合いそうだな…って思って。SUGAさん、このブランドよく着られてますよね？」

「え…あ…どうでしょう。ごめんなさい、私あまりよく服のブランドはわからなくて」

「あ、ごめんなさい。通訳さんですもんね」

「あ…じゃあ行きましょうか？」

「はい」



洋服に興味がないわけじゃないけど、
彼女のようにオシャレではない。

黒のライダーズジャケットを羽織り、
黒いスキニーパンツを履いて。

一緒に歩くのが恥ずかしい程
スタイルも良くて、
顔を背けたくなるほどお肌がキレイで
美人さんで。

そんな人が、
ユンギさんを好きなんだな…

私は…
ユンギさんが好きな服のブランドなんて、
全く知らない。

SAINT LAURENT…

そうだよね…
そんなハイブランドを着るような人なんだよね、
ユンギさんは。

それを知ってて、
さらっとプレゼントできる…



あぁ…なんか…



私はただの『通訳さん』。
まさに彼女が言った通り。
ただの事務所スタッフ。


ユンギさんや彼女達とは
住む世界が違うのに…


すごい人達と一緒にお仕事させてもらってたから…
いつの間にか勘違いして、
忘れてたのかな…


最初から、
どうこうなれる…
そんな存在の人じゃなかったのに…

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