通訳ヌナと… 【Yoongi：3】

空港 -Yoongi- ページ47

「ヒョン…怖いです」

「は？」

「睨みすぎです」

「睨んでねぇし」


空港。
搭乗を待ちながら、
俺の視線の先にはAがいる。

詳しく言えば、
Aとダンサーの奴らがいる。

チェックアウト時、
ダンサー達が部屋の物を壊したらしく、
弁償だのなんだのでAが通訳に入り、
結果、そいつらとタクシーに乗り、
遅れてさっき空港に到着した。


ってか、もう話はついたんだろ？
ならそんな所にいず、
早くヌナ達の所に行けよ。

そういえば…

「どいつ？」

「はい？」

「あいつのこと好きだっていう奴」

「あいつ…」

ジョングクがまたニヤニヤした顔をして、
笑いながら言葉を繰り返したけど。

今はそんなことよりも、
あの中の誰がそうなのかが気になって仕方ない。

「言いませんよ。言ったらヒョン、その人達のこと睨み殺しそうですもん」

「しねぇよ」

「どうだか…あ、Aヌナ！」

急に声色が変わったジョングク。
真っ直ぐと前を向きAの名前を呼ぶもんだから、
俺もジョングクの目線を追うと…

Aがいた。

「大丈夫でしたか？大変でしたね」

「うん、大丈夫だったよ。あ、飴！あ……あの…ありがとう」

ジョングクの顔を見て、
昨日の飴のことを思い出したんだろ。

お礼か何か口にしようとして、
でも誰にどこで渡されたか思い出して口籠もり、
小声になって…


「いいえ。あ、アイスも食べましたか？三つ」

「…っ！食べました…」


アイスみたいな甘い顔でAを見るジョングク。
俺しか知らないと思ってた顔…
可愛く怒るあの顔をジョングクに向けるA。

なんなの、この二人。
何この雰囲気。


「あ…じゃあ行くね」

ヌナ達に呼ばれたA。
ジョングクとだけ話して、
俺には何も話さずに行くのか…

って思ってたら。


「あ…ユンギくん、ピアス…マスクにひかかってる…」


ユンギ…くん。


「あ、本当だ。ヒョン…ちょっと…」

顔は見ず、
俺の耳を見上げながら話したA。

ジョングクがピアスを直してくれると、
小さく笑って…

「じゃあね」

…と。
今度は顔を見てニコッと笑って…
ヌナ達の所に行ってしまった。




「ヒョン？……ヒョーン？」


呼ばれてるのはわかってる。
けど、
今はAの後ろ姿を見るので精一杯。

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