通訳ヌナと… 【Yoongi：3】

困惑 -Yoongi- ページ11

いつもと違うAの通訳スタイル。

いつもは間に立って話すくせに、
今はまるで向こうの会社の人間かのように
女のほぼ横に立ち、

仕事内容によるけど、
こんな会話、
お前ならメモなんかいらねぇだろ？

なんでペンとメモなんか持って、
必要ない文字なんか書いてんだよ！

さっきから女の方は見るくせに、
俺が話す時は耳だけこっち向けてメモしか見ず、
女の話を通訳する時だって、
メモ見ながらだったり…

俺が前、お前にやったように、
首や上半身を見て、
俺の顔なんか一切見ず…




話が終わり、
女がAに挨拶した。

そして、
まるでその流れのようにAが俺に頭を下げ、
元いた場所に戻って行った…

もちろん、
俺の顔を見ることなく…



部屋の隅。
鞄に触れる後ろ姿。
たまに見える横顔。

Aがした、
俺への今の態度。

その場に立ち尽くしたまま、
ただ呆然と見つめることしかできない俺。

心も…身体も動かない。


なんで？

なんで？

なんで？


さっきまで、
マネージャーと普通に笑って話してたじゃん。

その前も、控え室では普通だったじゃん。



急に…

なんで？



…………あ。



その時。
頭に浮かんだ会社の廊下。
急に変えた俺の態度。
背けた顔。


あぁ…

こんなに胸が痛くなり、
一歩も動けなくなるほど
途方にくれることをしたんだ…ってこと。

あの時、
どれだけAが胸を痛めたのか…
どれだけAが困惑したのか…

日がたち、
俺に笑いかけてくれたA。

傷ついているのは俺だけで、
Aはもうなんとも思ってないから
そうできてるのかと勘違いしてた。

けど、
高麗人参エキスだったり、
俺の歌だったり、
俺への謝罪の言葉だったり、
涙だったり…


なのに俺は、自分のことばっかりで…

あれこれ自分に言い訳をしては
謝ることもせず…

まだ想ってくれてるのかも…なんて、
バカすぎる思い込みまでして…



Aの中で、
何か理由があるから俺の顔見なかったんだろ？

俺はその理由がわからない。

わからないから困惑する。

どうでもいい奴じゃないから…
好きでたまらないから…

だから、
急に態度を変えられて、
避けられてすげぇショックだし…



同じことを味わって、
Aに俺が与えた痛みを知り、
同時に、その痛みも加わって…



ふらっ…と。

急に足が動いた。

一歩二歩…
Aの元へと進み、
でも突然、ピタッと止まった。


「ヌナ！」


ジョングクが…
俺より先に、
Aに近づいたから。

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